「犯罪機会論」を聞いたことありますか。
本の防犯スタイルは「犯罪原因論」に基づいています。
犯人が「なぜ」犯罪を犯したのか、家族関係や交友関係、金銭、幼少期の体験など「原因」をもとに分析しています。
でも同じような境遇の人が同じ犯罪を犯すとは限りません。

犯罪は「起きやすい場所」で起きるのです。これが「犯罪機会論」。
「犯罪原因論」だと「人」に注目することになり「不審者」を仕立て上げるのですが、防犯には繋がりません。
今も不審者情報が地域LINEで共有されていますが、そもそも不審者って何?
こどもに「不審な人、怪しい人に近づかないように」って具体的にどう説明しますか。

著者は「犯罪が起きやすい場所」がどんな場所なのか、自分の住んでいる地域に落とし込んだ「地域安全マップ」を子どもたちと作成する活動をされています。
これは「犯罪発生マップ」や「不審者マップ」とは全く別物です。

Yahooにマップの比較があります。

「入りやすく見えにくい場所」は、わたしたちの周りにたくさんあるけれど、普段から意識をしてみていないと思います。
例えば駐車場や地下道の壁を白く塗装するだけでも「見えにくい場所」から「見えやすい場所」になり、犯罪者は避けるようになります。
駐車場の壁を、そんな風に見たことありません。

世界で最も犯罪が起こりやすいのは日本のトイレ。
きれいでも犯罪は防げないのです。

「犯罪原因論」による防犯は、独身中年男性を一層孤立させます。
こどもや女性と一緒にいない「中年男性」は、「不審者」像にぴったりはまってしまいます。

フリーランスの女友達が、ウォーキングしていたら下校中の小学生に「こんにちは!」って大きな声で挨拶され、「あ、わたし不審者と思われてるんや」と苦笑いしていたんです。
彼女は外見が性別不詳で、「不審者像」に当てはまってしまったんです。

確かに自分から大きな声で挨拶しましょうという防犯は効果がありますが、「犯罪原因論」に頼るとこどもは大人を誰も信じられなくなり、「知らない人は全て不審者」として接しないといけません。
本当の有事の際に大人を頼れなくなりますし、中年も積極的に他者と関わりにくく、社会全体のストレスが上がります。

それよりも「犯罪を起こしにくいまちづくり」にすることのほうが大事であるという著者の活動は今も続いています。
絵本もあります。
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