のブログは大半買い物とお出かけネタですが、本業:書写指導者です。
一般向けには「習字の先生です」と言っています。

書写と書道は別物だけれど、その2つに共通する検定があります。

「硬筆/毛筆書写技能検定」
6級~3級までは実用より、2級~1級は芸術よりだと思います。

日本の検定の特徴で、2級までは過去問やっていたら合格できます。
技能検定というだけあり6級を除いて理論と実技の出題なんですが、2級までは独学でも行けると思います。ただ1級はあかん、独学はお金と時間が有り余っているならいいけれど、「検定協会が求めている」意図をちゃんと理解して書けないと、ダメです。
また検定の内容は変化しているので、「いま」の内容を把握している指導者に添削してもらうのは大事。

わたしは硬筆2級を平成20年(2008年)に合格後、準1級の過去問を見て退散した口です。
令和元年に準登録制度の期限が撤廃されたので、実技全振りでやってみようかと友達と計画しました。
以前は片方合格後の免除は2回だったんです。

6月の試験日に向けて春から計画したのに、4月のアレルギーがめちゃくちゃ長引いて完全に計画が狂い、『秋にしようかな……』と日和ったんですが、友達に「裏切るの……?」と咎められ、精進潔斎してがんばりました(泣)

準1級の合格率は20%弱、1級は10%以下です。
今回準1級の実技だけ合格したので、用具や学習法など記録しておきます。

問題例と合格答案例もサイトにあります。
受験する級のデータはプリントした。

まとめを書いててなんですが、他人の合格体験記はあんまり参考にならないです。
読みすぎて結局なにすればいいのとなるし、その人の状況によって「一日◯時間学習すればいい」と数量化できるものでもないのです。
地区講習会がないし、書写能力診断テストも受付期間短いしなー。
だからとにかく一度受験して、何が足りないのか把握するのがいいです。

わたしは指導者でありますが、今でもベテラン指導者の教室に通い、伴走者もいて、周囲には1級合格者、受験経験者がいるというアドバンテージがあります。


●準1級【第一問】速書き

下読み1分、135文字を4分で「必ずボールペン」を使って書きます。

【用具】ジェットストリーム 黒 0.7
手書き文字は程よく引っかかりのあるペンのほうが書きやすいけれど、第一問はとにかく時間内に「書ききる」ことが求められるので、一番ヌルヌル書けるジェスト一択です。
硬筆書写検定用具
いろいろ試したけどね

【練習】トップバリュの国語ノート12行、テキストから回答枠のサイズを確認、実物サイズにして毎回時間を測りました。
第一問模範解答
左:検定サイトにある模範解答 右:練習
第一問
今はいい時代で検索すると合格者の練習作品も見れるのですが、まあ皆さん綺麗です。
自信なくさないでほしい、わたしの練習文字これですから。

【コツ】
言偏、金偏、日偏など頻出の「偏」は行書ないし草書で書けると時間短縮になるので、欄外で練習しました。1級にも役に立つからおすすめ。

【試験当日】
長さ12センチ位の定規で問題文を一行ずつ表示。
練習では一行飛ばすことはなくても、当日は舞い上がるのでね。一文字ならともかく、行をごそっと飛ばすのはほんとに怖い。

●準1級【第二問】漢字三体【第三問】漢字仮名交じり縦【第四問】漢字仮名交じり横

第二問~第六問は試験当日順番通りにしなくてもいいです。得意なところからやっても良し。

【用具】SARASAクリップ ブルーブラック 0.4
一番使い慣れているのは0.7なんですが、罫線の太さとのバランスで0.4。

【練習】
B5コピー用紙
第二問
第二問 楷行草書三体の課題、回答例の余白と字配りを参考に回答枠と下敷き作成。
第三問第四問も同様。

【コツ】
一番しんどいのは第二問の草書だと思います。テキストを購入し頻出文字をとにかく練習すること。
今のテキストは頻出文字載せてくれて親切です。
練習
トップバリュの漢字ノート。
どうしても書けない知らない草書があっても、決して「空白」にしてはいけません。何が何でも書くことです。大事なのは、三体の書き分けができることなので、草書の解答欄に「行書3」の草書っぽい行書体を書いても大丈夫です。わたしは合格しました。
これは1級でも同じ。
他人の合格記で一番励みになったのは、この「書けない草書がでてきた時」の対処法でした。先人たち、ありがとう。
準1級は試験日の季節にちなんだ文字が出やすいです。
練習
第三問と第四問は、回答例の一行文字数をカウントし、問題に改行印を入れてから字配り調整します。過去問でいろんな文章を書きまくってください。

●準1級【第五問】自由作品 和歌、詩、漢詩より選択


【用具】筆之助 しなやか仕立て
わたしは好きなんですが、使ってる人少ないと思う。
インク残量が見えない使い捨てなので、試験の2日前に新しいものをおろして慣らしました。
課題は【b詩】一択です。
第五、第六問 下敷き
【練習】
B5コピー用紙
大体4行詩ですがまれに3行もあるから、どっちでも対応できる下敷き(右)を作って練習しました。
練習
【コツ】
奇をてらわず、無理な連綿を書かず、行頭と行間をきちんと揃えておいていけば十分です。1級も同様。

【試験当日】
鉛筆で枠線をきっちり引くこと!! 「+」にならないように、丁寧に仕上げる。
枠線も含めて作品です。

●準1級【第六問】掲示物縦書き


検定の課題で一番納得行かないのが、掲示物……
今どき手書きで掲示物なんて、見ないよ!!

【用具】パイロット パーマネントマーカー100アルコール系インキ(油性)中字丸芯
インクが鼻粘膜を刺激してアレルギーがひどくなり、なかなか練習が捗らなかったです。

【練習】
第五、第六問 下敷き
左が掲示物用の下敷き、油性ペンの点々がうつって気持ち悪いね。
B4のコピー用紙など。

【コツ】
どれを一番注目させたいか、二番目は、など重要度で文字サイズを変えます。
左から書くと、文字の粒がぶれないです。
過去問分析で「月日」は試験当日の「月日」なので、今年第一回だと6/18だから「六月十八日(日)」ばかり練習しました。
「講座」「(公民)館」「先生」「区」「主催」「午前」「時」など頻出文字を書き慣れること。

【便利ツール①】
ドラフティングテープ12mm幅、マステよりもちょっと厚みがあって使いやすい。
下敷きと練習用紙がずれないよう固定するのによかったです。

【便利ツール②】
ソフト下敷き。わたしが使っているのは別ですが、参考にリンク。
B5よりA4のほうが使いやすいです。

●テキストは新しいものを、伴走者と切磋琢磨、スマホを活用

テキスト
平成20年23年の過去問、出題はともかく解答用紙の罫線の長さが変わっているので、下敷き作成には使えません。解答用紙のフォーマットは予告なく変わるので、新しいテキストを手に入れたほうがいいです。

わたしは友達と教室で週一回、先生の指導を受けお互いに「今週こういうの書いた」と見せ合いっこしていました。
アレルギーでしんどくても、前日しか書けなくても、必ずなにかを見せるようにしたのは大きかったです。
ひとりだと絶対くじけていた……

スマホは時間計測にも使いますが、書いた作品を撮影して見返すようにしていました。
人間の目って誤魔化すんです。本当に信用ならない。
レンズを通してだと「今の実力」が丸裸になるので、mixiにUPしてここが書けていないというのをチェックしていました。

5月の連休からやっと取り掛かり全くもって練習不足だったんですが、周囲に合格者や指導者、伴走者がいたおかげで実技は一回で合格、理論はほったらかしにしていたから(笑)、次回頑張ります。

1級を見据えて準1級を受験したのですが、やってみて自分の指導においても解像度がぐっと変わりました。
教材の見方も変わり、学習者の方への伝え方にも奥行きが出てきたと感じます。
2級1級を受験する人はそれなりに書の経験があると思うのですが、だからこそ受験で学びがあることを楽しんでほしいです。

受験料は年々上がり、老眼も進み、もっとはやくやってたら……とは思いますけどね!!

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