図書館の蔵書検索で「この本知らないな」とポチ。
取り寄せてびっくり大判書籍で、なにかの図録かなと思ったんですが、JANコードも付いているから一般売りされていた書籍なのは間違いないです。発行は講談社。
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Amazonでも中古でまだ買えます。
フェラガモの本といえば自伝「夢の靴職人」がありますが、靴選びの視点でもこちらの書籍は目を養われます。
1998年4月14日~5月14日、東京草月会館にてサルヴァトーレ・フェラガモ展「華麗なる靴」が開催、生誕100周年の回顧展でそれに合わせてこの本も出版された模様。なんとなく図録っぽいと感じたんですが、あながちはずれじゃないかも?
●どれが好きですか?
田中一光のアートワークの優れていること。
この本に載っているフェラガモの靴195点は、大半サイドアングルばかりです。
でもそのサイドの美しさこそが、フェラガモ、そして本来の「靴」だと思いました。
何も考えず『好きだなあ』『いいなあ』と感じた靴をバシャバシャ撮っていきました。
写真でも思わず手が伸びる質感といい、カウンターがくっきり見える安定感。
このタイプは素材や爪先のデザイン違いで色々載っているので、なぜこれが一番と感じるのかと深堀りすると楽しいです。
そして一番美しいと思ったのは、これ。右ページ上の図解は、特許取得した中底です。
いやもうこのパンプスのライン完璧でしょう、なんて美しいんだと惚れ惚れしていたら、
そりゃ美しいわ……
わたしはレディースだと甲の立ち上がりが美しい靴が好みなんだと自覚しました。
甲が抜けていても、履き口に少しだけある立ち上がり、すごく洗練されています。
メンズの靴を見てても、甲の立ち上がりが美しいなと感じないんです。
フェラガモ独特の美しさなんかな。
この目線で今の売り場を見たら、「足が見えない」靴ばかりなのがわかると思います。
特に今はサンダルシーズンなので、顕著に「どんな足の人がこれ履けるねん」な靴ばかりです。
「ファッションと名のつくものの中で靴ほど“建築”に近いものはない。足に“住家”を与え、外観で個々のスタイルを示しながら、内ではしっかり実用的な役目をする」
P62「SHAPE」の解説文より
フェラガモの外見だけではない履く人のことまで考え抜いたデザイン、そして工夫を見ると、改めて今売られているパンプスにはもう足入れする気も起きません。