話題作だ! もちろん図書館で借りました。
著者は1974年生まれ、同年代だし著者もオタクだから過去の事例は共感しかない。
同年代著者の著作を手に取ることが増えたのは、自分が年取ったからですな。
私自身オタクを公言していますし、早送り視聴なんて10年以上やっているから、何が悪いんですか?と思いながら読み進めていたら、
P132
P132
『昔の人が早送りしていたのは、自分のためですよね。 コンテンツが大好きな人が、限られた時間でたくさん作品を観て、自分を満足させるため。だけど今の若者は、コミュニティで自分が息をしやすくするため、追いつけている自分に安心するために早送りしています。生存戦略としての1・5倍速です」(森永氏)
昔の人……つまり昭和のオタクっていいたいんだな!
若者とは早送りの意味が違うんだってー。
●個性的であれ。さもなくば、死。誰も見てへんけど
このあと「個性的であれ。さもなくば、死」と続くんです。
とにかく驚くのは若い人の強迫観念です。
ユニーク(Unique/個性的)でないと、“存在が無駄”かのような意識なんです。
誰もそこまでお主を見ていません
見ていないのに、SNSでつながっていると周囲の動向が手にとるようにわかるし、自分の動向も相手に詳らかになるから、常に個性的な行動をしていないと仲間内で存在価値がなくなる、そんな意識でオタクに憧れているんです。
ですがオタクになるには時既に遅し。
そもそもオタクってなろうとしてなるものじゃないです。
他者や社会に目を向けず自分の好奇心探究心のみで時間を忘れることを続けていたら、オタクになっていました、なんです。アイタあ!!
SNSでの存在感気にしてるようなタイプには、なれませーん。
付け焼き刃の浅知恵で適うわけない、でもUniqueでいたいから、「推し活」と称したオタクの真似事をやっている。
輝いて見えるんでしょうけど、その発想がもうすでに個性的じゃないですよね。
早送りしてまで、シリーズものの途中を飛ばして一気に最終回を視聴する理由は、グループ内での話題を知っておきたいから。
全部を見る時間がないのでおすすめのところだけを知りたい、と堂々と聞けるのって、ある意味厚顔無恥の行動なのに、そこは恥ずかしくないんですね。
あくまでグループ内での話題についていきたいといういじましさにゲンナリしました。
その性根のまま大人になると、ネットワークビジネスのいいカモですね。
彼らは当分カモに困らないなと思いました。
●マイノリティを突きつけられた
前半の若者論に対して、後半の文化論は面白かったです。
そも、文化作品を嗜めるのは「生」しかありませんでした。
映画(フィルム)が登場した時、生の舞台が一番であると非難されましたし、TVが出たときも同様です。
映画は映画館で見るものだ、2時間もTVの前でじっとしていられるわけがないとも言われていました。
音楽だと生演奏、レコード、CD、いまは配信ですが、新しい視聴スタイルは必ず非難されます。
TVだって、わたしが子供の頃は長時間見ていたら頭が悪くなると言われました。
いまやTV離れと言われていますが、頭が良くなったかというと、サル化してる。
マンガやアニメだって長い時間「害悪」扱いでした。
それと同じで、早送り視聴も「新しい視聴スタイル」なだけで、今後定着するだろうと。
わたしが倍速視聴するようになったのは、2010年PS3とtorneを購入したときからです。
この図表とはズレがありますが、VHSの早送りは動作がもっさりして速度調整も難しく、使えたもんじゃなかったです。
ですがtorneは非常に良くできていました。
長細いリモコンよりも圧倒的に使いやすいコントローラーと優れたUIで、ものすごい視聴が楽しくなったんです。
メーカー各社は、縦長リモコンに縛られすぎ、もっと工夫してくれ。
動画サイトは操作性が悪く、早送りアドオンを入れてでないと使えたもんじゃないです。よくみんな辛抱してるわ……
いわゆる情報収集せずに「その場買い」する消費者、先進国の中でも日本が突出しています。
このブログに具体的な商品名でやってきて、「買おうと思ったけれど、やめました! ありがとうございます!」的なメッセージがちょくちょく来るんですが、かなりマイノリティです。
多くの人は思考もせず「無関心」なのが、この国の購買行動です。
そりゃわたしが欲しい物がなかなかないわなー!! ゲンナリ……
著者はこのように何かを選ぶための労力を惜しむ人はコンテンツにリスペクトしない、だから早送り視聴できると嘆いているけれど、わたしは映画を早送り視聴しますが選ぶために相当労力を割いているので、そこは別の話だと思います。
インタビューは都合のいい人集め過ぎかなと感じるので、この著作を嚆矢に今後もっと活発な分析が行われるのが楽しみです。
コスパとかタイパとかはじめに言い出したのは、誰なのかしら? pic.twitter.com/l1twQA4coc
— 小島アジコ (@ajico_k) May 5, 2023