事件や事故のWikipediaを読み出すと止まらない人、多いと聞きます。
わたしもそうで、書籍にまとまらない大小の事故を延々読み込んでしまいます。
リンク
今回は遭難事故のレポートなんですが、複数の専門家によって生存者と死者を分けたデータの分析/対策も書かれていて、ごく小さな判断ミスがじわじわと取り返しのつかないことになる怖さ、山に登らない人にもおすすめです。
本を読むほどでもなくても、トムラウシ遭難事故報告書はこちらからPDFで入手できます。
公益社団法人日本山岳ガイド協会
https://www.jfmga.com/tomuraushi.html
https:/
2009年7月、真夏の北海道トムラウシで登山ツアー客18名中8人が死亡する、史上最悪とまで言われている遭難事故が起きます。
Youtubeにもゆっくり解説動画が複数上がっていて、書籍を読む前にざっと視聴したのですが謎な箇所があったため上記PDFを読み、本を借りたんです。
●そもそも登山にふさわしかったのか
書籍では「大内」という仮名の女性(61)、一日目の旭岳登頂後に嘔吐します。
解説動画にもあるんですがすごいびっくりして、平地でも嘔吐なんて体調不良極まりなし、なんでそれで登山続けたのと不思議だったんです。
解説動画にもあるんですがすごいびっくりして、平地でも嘔吐なんて体調不良極まりなし、なんでそれで登山続けたのと不思議だったんです。
この方、1700mくらい登ると高山病の症状が出てくるというのは報告書にもあるんですが、さらに書籍には彼女を知っている他の登山者から、
「胃が空っぽになるまで吐くほうが元気になると言っていた」
「だから嘔吐しているのを見てまたかと思った」
というコメントがあるんです。
でもそのせいで、食事も満足にできないまま過ごすんですよ。
それまでの登山ではトラブルなかったんでしょうか。
本には低体温症、運動生理学の章で栄養補給の重要さと、体格によってどれほど違うのか数値化して解説があります。
これを読むと、この方はそもそも1700m以上の高山を登るべきではない、コース選択を誤っていると思うんです。
でもそのせいで、食事も満足にできないまま過ごすんですよ。
それまでの登山ではトラブルなかったんでしょうか。
本には低体温症、運動生理学の章で栄養補給の重要さと、体格によってどれほど違うのか数値化して解説があります。
これを読むと、この方はそもそも1700m以上の高山を登るべきではない、コース選択を誤っていると思うんです。
なぜなら登山のルールとして、遅い人にペースをあわせます。
山岳会や登山の同好会なら同レベルのパーティーを組まないと登れないので、この方は逆に「ツアーでないと登山できない」パターンだったのではと思いました。
ツアー登山の怖さって、知らない人と一緒に山行、しかもレベルはバラバラ。
わたしなら自分が置いていかれるのも嫌だし、かといって遅い人をずっと待つのも嫌です。
山岳会や登山の同好会なら同レベルのパーティーを組まないと登れないので、この方は逆に「ツアーでないと登山できない」パターンだったのではと思いました。
ツアー登山の怖さって、知らない人と一緒に山行、しかもレベルはバラバラ。
わたしなら自分が置いていかれるのも嫌だし、かといって遅い人をずっと待つのも嫌です。
生存者と死亡者を色分けしてくれ、地図入りでわかりやすいです
。
北海道は高緯度なので、2000mの山でも本州の3000mに匹敵するなんて、知らなかった。
●正論はわかるけれど、現場のニーズとすれ違う
著者のひとりライターの羽根田氏は、アミューズトラベル社のツアー登山自体にずっと警鐘を鳴らしているんですが、参加者はアミューズに対してよくやってくれたと言うんです。
他のツアーだとガイドが頼りないが、アミューズのガイドは若くて信頼できたと。
他のツアーだとガイドが頼りないが、アミューズのガイドは若くて信頼できたと。
ガイドは、実際には添乗員の仕事もしていて、小屋に先回りしお湯を沸かして参加者を待つとか、驚きました。
そういうのは参加者が自分でやってこその【登山】じゃないの?
わたしは羽根田氏の意見に賛成なんですが、これ靴でも何でも同じ、正論よりも現場のニーズなんですよね。
ツアー登山が無くならないのも、海外にはない大きなニーズがあるからです。
海外にはこんなツアー登山ありえない し、ガイドの基準も違います。
日本は登山歴も考え方も違って安全基準もまだまだ甘いのに、未熟なレベルで登山者が増えちゃって、しかも高齢者でお金持っているからそりゃやめられない。
そういうのは参加者が自分でやってこその【登山】じゃないの?
わたしは羽根田氏の意見に賛成なんですが、これ靴でも何でも同じ、正論よりも現場のニーズなんですよね。
ツアー登山が無くならないのも、海外にはない大きなニーズがあるからです。
海外にはこんなツアー登山ありえない し、ガイドの基準も違います。
日本は登山歴も考え方も違って安全基準もまだまだ甘いのに、未熟なレベルで登山者が増えちゃって、しかも高齢者でお金持っているからそりゃやめられない。
アミューズ社はその後もツアーを続け、2012年11月中国万里の長城ツアーで低体温症による凍死者を出しています。2021年2月清算済み。
●刻々と迫りくる「死」が見える
報告書PDFより、体温と症状の変化です。低体温症の怖さは、かなり早い段階で「判断力が低下する」ことです。
自覚する前に補給食や防寒具を身に着けないと、なすすべもなく活動がどんどんできなくなります。
『寒いなあ』と思うだけで、リュックに入ってある防寒具を身につける、ということができません。
真夏でも凍死する、最初の段階です。
【冷え性】とぜんぜん違うのがわかります。
冷え性はあくまで末端や表面が冷えているだけで、芯の体温が低下していません。
でも低体温症は、一度休んで活動再開すると冷えた血液が体中を駆け巡り一気に冷やします。
バタバタと倒れゆく様子は、八甲田山の映画を見ていたら容易に想像できます。
リンク
トラウマ映画
2009年当時、低体温症という言葉と症状について、広く知られていませんでした。
備えがあればこれほどの大惨事は防げたのでは、という教訓と、コース選定の考え方についてもぐっと科学的になったきっかけだと思います。
臆病なくらいで丁度いい。
山に登る人は必読だし、生理学、身体機能に興味がある人も読んでほしいです。
リンク
----------
「マシュマロ」は、回答・返信なしのお気軽ツールです。
「マシュマロってなに?」という方→解説はこちらへ
「マシュマロってなに?」という方→解説はこちらへ