年は20年メモリアルで関連番組が多く、過去の特集も再放送されていました。

BSで放映された番組に、タワーから生存した消防隊員が出演していました。
自分以外のチーム全員亡くなっています。
救出を切り上げて下層に避難するのですが、途中で泣き崩れている女性を救助します。

泣いて呆然とした女性を抱えて必死に下層を目指す最中、4階、あともうちょっとで地上というところで完全に女性の足が止まってしまいます。
もういい、わたしに構わないで。
そんな彼女を見捨てなかった消防隊員の上に、容赦なくノースタワーの倒壊が始まります。

数時間後救急隊員も女性も救出されますが、ちょうどコンクリートの隙間で助かるのです。
もし、4階で足を止めずおりていたら、亡くなっていました。

4階……確かタワーって中二階構造だったはず。アレが原因で避難がうまく行かなかったのを思い出したんです。
なんでそんな事知っているのかというと、2008年に読んだ書籍からです。

9・11生死を分けた102分 崩壊する超高層ビル内部からの驚くべき証言
読むきっかけになったまとめブログがあるんです。

注目は、コメント欄。
2008年は911陰謀論が一番盛り上がった年でした。

ビルの建築構造

陰謀論に行く前に、書籍を読んで驚いたことを。
建築業界が利益優先で建築基準を緩くした結果、被害が甚大になったといえます。
非常階段のスペースを狭くすれば、その分賃貸フロアが広くなって家賃収入アップ。
防災に関する施設などが、フロアから徐々に削られていきます。
ホテルニュージャパン火災を彷彿とします。

そしてまとめブログで語られていない点を上げると、非常階段の出口が地上じゃない。
中二階のロビーフロアが階段からの出口で、そこから地上へはエスカレーターじゃないと行けないんです。
長い長い階段が尽き、ようやく明るい外だ! と思ったらこの中二階で渋滞。

さらにロビーでは、非常階段では知るよしもない惨劇が目に入ります。
上層階から飛び降りた人たちの死体です。
ロビーのテラス越しに見える"赤"に、足が怯むのを警官が叱咤して誘導する。
文字だからまだ踏ん張れるのですが、

9.11 ~N.Y.同時多発テロの衝撃の真実~ [DVD]
フランスのTV局から派遣されていた兄弟カメラマンの映像です。
新人消防士のドキュメンタリーを作成するために密着取材をしていて、たまたまタワー近くの現場に出動した時、激突。
ノースタワーに旅客機が激突した瞬間を唯一捉えたカメラともいわれてます。

このドキュメンタリー、バックにどすんどすんという音が入ってます。
硬い「モノ」が落ちる音じゃありません。
わたし、今でも忘れられないです。

旅客機の突入当初から"この音"があるってことは、火災がピークの時期はどんなんかと思うと、怖くて怖くて仕方ない。
自分がそんな場面に遭遇して足を動かし続けられるのか、全く自信がないです。
そして走って逃げたくても、列は進まないんだよ。

書籍を補完する意味でも見ていただきたいドキュメンタリーなんですが……

●陰謀論は死者への冒涜

TVが無責任に取り上げたことがあるので、なんとなく知ってる人もいるかと思います。

・WTCの倒壊は爆弾による
・ペンタゴンは飛行機ではなくミサイルによる攻撃

有名なのはこの辺でしょう。
陰謀論を知った時、
『WTCのそれはないだろうけど、ペンタゴンは……』

それというのも、ペンタゴンへの旅客機激突後、壁の穴がなんか小さくない?? って当時思ったんです。

【飛行機の激突にしては、小さいなあ】

そういう印象を持っていたので、陰謀論を知った時真っ先に浮かんだのはペンタゴンの画像でした。
なぜそう感じたのか。
映画の影響だと思います。

ドンパチ映画のメイキング映像を好んでみていて『あの爆発は作られたものだ』と理解しているのに、やっぱり派手な爆発シーンの印象は強いです。
実際に飛行機が建物に激突した写真を見たこともないのに、『なんか小さくない?』って思ったわたしの方がおかしいんですよ。
頭ではわかっていても、どうしても自分の経験に当てはめて物事を判断しているんです。

陰謀論にハマるのって中二病にかかるのと似ています。
10代でかかれば免疫になりますが、成人後だと重篤化しやすく、周囲への影響も甚大。


出演者のコメントで興味深かったのは、
「キリスト教はもともと陰謀論なので、熱心な信者ほどハマりやすい」
そして、ハマった人を笑わない、リセットされた人に共感することの重要性でした。

●高層階のリスク、廃材の行方

災害時、情報を得られないのは命の危機に直結です。
20年前と違い、今は通信網が発達しているし高層タワーやマンションには屋上ヘリポートもあります。
安心できますか?

平時においてもタワマンは携帯電波が入りにくいので有名です。
エコガラスも電波を通しにくいし、ある程度保護のできる有線と違って脆いものなのですよ。

ところでビル倒壊時に出た大量の廃材はどこに行ったのでしょう。
ビルの鋼鉄部分は日本の八幡製鉄(現・新日鐵)が作成し、倒壊後でもその強度や質の良さが評価された一級の建材でした。
充分リサイクルに耐えうるということで、その廃材はアメリカから海外へ売り渡されています。
一部はJFK空港に保管されてる。
(メーカーである日本に買い取らせようとしたけど、心情的に日本が買い取ることはないだろうと判断されたとも)

さて買い取った国はどこかというと、当時良質の鉄鋼が喉から手が出るほど欲しかった国です。
中国とインド。
質に対して二束三文の価格で大量の鋼材を手に入れた中国、北京五輪の「鳥の巣」スタジアムにリサイクルされたとか。
いま検索しても全然ヒットしないんですが、2008年に週刊誌などに載っていたんです。
 
買い取った当時、中国の新聞に載ったのでそのページ。
http://www.china.org.cn/english/2002/Jan/25776.htm

本の感想から逸脱しましたが、これも20年の重みということで。
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