「革は最古のリサイクル」
このフレーズを聞いたのは、業界向けの勉強会で2015年のことでした。

確かに食肉として屠殺したあとに残る皮革をなめし、革製品として「再利用」するのだから、リサイクルといえばリサイクルです。
でも、一般消費者は履いている靴や鞄が「リサイクル製品」といわれても、ピンと来ないでしょう。

【リサイクル】
牛乳パック ⇒ ティッシュペーパー

用途が済んだものを「再利用」するのがリサイクルという認識なので、皮革や割り箸のように「材料をすべて活かす」という考えから生まれた製品は、リサイクルという言葉がジャストマッチしていないと感じます。

かといって木材のように「木は二度生きる」⇒「牛は二度生きる」も、生々しすぎてキャッチに使えないでしょう。

●高級和牛はリサイクルされているか


ファッションコングロマリットは、革と靴メーカーをガッツリ抑えています。
スペインには、あるブランドのためだけの牧場もあるそうです。

フランス料理の定番メニュー「子牛のソテー」、原材料が生後六ヶ月くらいの子牛だったら皮は「カーフスキン」となり、六ヶ月~2年の牛なら「キップスキン」です。
カーフのシューズを「子牛のリサイクル」として買ってる人は、まずいないでしょうね。

さてここで、日本の高級和牛は「リサイクル」されているのか見てみましょう。
神戸牛を使ったレディースシューズはあります。

Emma Francis(エマ フランシス)のフラットシューズ。
他にシューズは見あたらず、松阪牛のバッグをエースが出していましたが、

いまは販売していない模様。

先日放映された「サラメシ」で帯広畜産大学の教授が出てきたのですが、和牛の品種改良に取り組まれていて、1990年の和牛の脂肪率20%でした。
2020年にはこれが50%まで改良されていたんです。

高級和牛はみての通り、脂肪が多いです。
和牛に限らず世界的にやわらかい肉が好まれるようになったので、革もどんどんやわらかくなっています。
だから、自分が社会に出たときに見た靴といまの靴は革が違うんです。
和牛を使った紳士靴やハイヒールがない理由、理解できるでしょう。

今後、固い肉が好まれるようになるとは思えません。
となると、食肉にしたあと皮革製品として「再利用」できるレベルを保てるものなのか。
そしてその革と、これまでの靴の製法が果たしてマッチしているのか、疑問です。
素材が変われば製法も変えた方がいいと思うのです。

●令和のサスティナー(棒読み)

enim color
enim color(エニムカラー)、香川県のブランドで一級の牛でもキズやシワのある革の部位が使われることなく処分されるのをもったいないと革製品化したんです。
植物性のタンニンなめしです。

ギフトカタログに載っていて、捨てる部分を活用する精神がいいなと思い選びました。
ちゃんと自立する、かといって鈍器ほどではない十分な固さ、ショルダー派ですが手提げに丁度いい小ぶりなサイズでガッツリ活用しています。
よく見ると染めムラやキズがあるんですよ。
enim color
たぶん血管。
でも使っていて全然気にならないです。
むしろ新品時から「味のある」仕上がりで、にやけました。
これぞ革の良さ。

ペッカペカの鏡面磨きじゃあるまいし、デイリーに使うものはこれぐらいの方が気安くていいです。

残念ながらサイトはなく、Facebookページが残るのみ。
系列のナチュラルアパレルサイトだけがあるので、もう生産されていないのかな。

これこそがサスティナだと思うのです。
大事な資源を無駄遣いするのではなく、活用すること。
新しい使い道を考えること。

皮革業界はリサイクルなんて当たり前だという認識なのか、エコロジーブームの折りもとくに啓蒙してこなかったと思います。
では今の時代、皮革がリサイクルであると声高に言い出すのは、誰なのか。
その人(ブランド)の目的はなんなのかを、見守るとします。

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