聞に掲載されたインタビューです。
ちょうど健康診断の予定を組んでいた時期でしたから、腹囲計測の部分に↓

「(インタビュー)医療費削減の幻想 医療経済学者・康永秀生さん」

 「健診自体の効果がどの程度あるのか、科学的根拠はまだ十分ではありません。男性85センチ、女性90センチという腹囲の基準にも論争があります。厚生労働省は2006年、メタボ健診によって25年に約2兆円の医療費を削減するという目標を掲げました。この推計値にも科学的根拠は全くありません。元官僚が著書で、何らかの指標が必要という小泉元首相の言葉を受けて仕方なく『えいやっ』と設定しただけの代物と証言しています」」

おっと目がとまり、著作を読みたくなったので新書である「すべての医療は「不確実」である」を買ってみました。

風邪に効果のない抗生物質がなぜ出されているのか。
経緯がやっとわかり、そのような理由でいまでも連綿と出され続けているのは、結局のところ「人」が対象だからなんだな。
多くの人は感情に動かされています。
自分で考えている“思考”ではなく、感情。
病を得ると特にそうなるので、エビデンスなんかよりも満足度を求める。
医師も手ぶらで帰すわけにも行かなくて「グッドバイ処方」をする。

代替療法については、表記がそもそもおかしい。不適当である。
科学的根拠に基づく医療に対して、代替と言えるレベルではなく、ヨーロッパだと「補完医療」と称していて、まあマシだと。

「ビタミンCで風邪を予防できるか」
答え:予防できませーん

風邪をひいたあとにビタミンCサプリを毎日窃取した場合、わずかながら風邪の症状の持続期間を短縮させる効果があったが、風邪の患者にビタミンCを大量投与しても、さほど効果は見られなかった。P131

この下りは傑作ですね。
風邪の時期になると、ビタミンCがどうこうというサイトがめっちゃ増えますし、サプリへのアフィリエイトのリンクが当然貼られています。
WELQ問題があったのでこういったサイトはGoogleの検索上位には上がりにくいですが、ツイッターでは案外シェアされていましたよ。

それと通販番組やTV番組でもすみっこによく出てくる「個人の感想です」も、医薬品的な効能効果を表示していたら、景品表示法や健康増進法の規制から逃れられるとは限らない。
たんに現状、摘発が甘いということ。

最後に人生百年時代について。
そもそもこの言葉自体が大いに誤解されている。
P222
いま生きている人たちが平均すると
「百歳以上生きられる」という話では
「ない」
です。

もともとは、今から九十年後の世界では半分の人々が百歳以上生きられる、という予測。
しかもこの予測、かなり不確実ですよ。
だいたい経済予測だっててんで当たりやしない。
では平均であとどれぐらい生きられるか?は著作をご覧下さい。

寿命については水野さんのこれも併せてどうぞ。

 
「ファクトフルネス」は、ぺらっと立ち読みしてなんかイマイチだなと戻した本です。
著者のジャケットなんて、全く気がつかなかった。

わたしは自分が百歳まで生きられるとは到底思っていません。
今の70代以上とは体が全然違う。
70代~は現在「体に悪い」と忌避されているものをふんだんに取り込んでいる世代ですが、生育期のモータリゼーションや住環境が全然違う、つまり土台から違います。
ストレス耐性の土台もレベルが格段に上。
精神的にどうよという高齢者ももちろんいますが、そういう爺婆は昔から一定数いた。
気の若い今の50代60代の体が百歳まで生きられる体なのかどうかは、そう遠くないうちにわかるでしょう。

自分の体を顧みて、百歳まで生きられるとは烏滸がましいと思っています。
日々ネットに接していると、特に弱っているときは安易に飛びついてしまいますが、本当に良質な医療情報って派手さ・わかりやすさはないです。
さすがにこれではニセ医学が蔓延り、予防接種の接種者数低下にまでなって厚労省もなんやかんや動き出しています。

健康についての情報は常にアップデートしないと、まるで逆効果のことを信仰している羽目になります。
手元に置いて戒めがてら、ペラペラと読み返しています。

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