もうと思ったきっかけがもう思い出せませんが、同じ著者による「桶川ストーカー殺人事件」も続けて読みました。

警察のDNA型鑑定(DNA鑑定じゃないよ、型がポイント)が恐ろしく不確定な鑑定なのに、都合のいいように証拠に仕立て上げていく有様。
管家さん(足利事件)をまずえん罪確定して解放しないと、他の幼女誘拐殺人事件に結びつけることができない。
この本はそこからスタートになります。

管家さんの家からロリコンのビデオがでたと警察は犯人の証拠としてあげるのですが、いっこも出てきていません。
近所のレンタルビデオ屋でもロリコンものを借りた履歴一切なし。
そんなんでも犯人像に都合がいい人がいたら、でっち上げられちゃうんですよ。

真犯人は別にいるのに、「こっちのほうがそれっぽい」という国民感情を納得させるためみたいな理由で逮捕し、無実の人の人生をめちゃくちゃにする。
先日放映されたNHKスペシャル 未解決事件「File.07 警察庁長官狙撃事件」
https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20180902
でも、明らかにオウムではなくこっちが実行犯だろという実在の男性が出てくるのですが、
「オウムとどこかのじいさん、どっちを逮捕したら国民が納得するか」という理由でオウム関係者を逮捕する警察。
ちがーう! 真犯人を逮捕してこそだー!!

著者は北関東連続幼女誘拐殺人事件の真犯人を知っています。警察も同じ情報を掴んでいる。
ではなぜ警察は真犯人を逮捕できないのか。すべてはDNA型鑑定と警察のプライドのせいです。
最後に
「いいか、逃げきれるなどと思うなよ」
と締めています。
逮捕されるその日を信じて。

なおこの著作をもとにしたと思われるドラマがAmazonで配信され、発行元の新潮社も著者も映像化は関知していないので問題になりました。
http://www.shinchosha.co.jp/news/article/889/
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1801/28/news018.html
限定ドラマ「チェイス」
現在最終話の7話だけ配信停止で1~6は上がったまま。
https://www.amazon.co.jp/dp/B078J4XYWQ
Amazonのこういうとこ嫌い。

●「桶川ストーカー殺人事件 遺言」

こちらの方が先に出た本です。

読み出したら止まらなくなり、あっという間に読破。
文中に「雑誌取材の対応ぶりワースト3警察」が出てくるのですが、ひとつはこの事件で大量の処分者を出している埼玉県警、そして北海道警、「一見さんはお断り」の京都府警。
京都府警に至っては、事件解決はろくにできないのに気位だけは高いと評されています。
京都府警察の人員が京都出身だけで固めているわけじゃないと思うのですが、土地に染まるのだろうか。興味深いです。

事件についてはとにかく警察の怠慢。
それだけでなくウソの記者発表も多数あり、被害者と遺族の尊厳を貶めまくり。
著者そしてFOCUS誌がなければこれらが明らかにならなかったのかと思うと、恐ろしい。

文庫版には著者のあとがきと、被害者のお父さんが寄稿されています。
「本書には、人に与えられただけの垂れ流しの情報によってではなく、自らの研ぎ澄まされた直感と信念によって、真実を探り出そうと猛烈に突き進んだひとりの報道陣の行動の結果が記されている。」

事件が起きたのは1999年(平成11年)、平成ももうすぐ終わるいま、この当時よりマスコミがましになっているかというとそんな事はなく、むしろネットが行き渡ったことによって一般人の判断力も衰えてしまっています。
事件についてのまとめサイトなんかより、リアルに触れた方の本を読むべし。
ところでなぜ新潮文庫なのか不思議だったのですが、そもそもFOCUS誌が新潮社だったんですね。
買ったことないので知らなかったです。

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