井戸 潤といえば「半沢直樹」「空飛ぶタイヤ」。
映像は観たことあれど小説を読んだことはありません。
だって間違いなくおもしろいでしょう…
でも今回は、映像化されるとわかっていながらも読みました。ランニングシューズの話ですから!
 →ドラマ半沢直樹第一回の感想
 →ドラマ空飛ぶタイヤの感想
陸王
足袋屋さんがランニングシューズを開発するので、イラストと用語が載っています。かわいいタッチで、どのブランドという特徴を出さないように工夫されている。イラストは龍神貴之氏。http://takayukiryujin.com/
 

老舗足袋屋さんが会社存続のための新規事業として、足袋をモデルにランニングシューズを開発します。
池井戸作品を読むのは初めてですが、とにかく爽快、軽快。
電車の中で読んでいて、『ああ! 降りる駅じゃん!!』と読み止めるのが惜しくなったのは久方ぶりの体験でした。

正直第十四章までのはなしは読めます。
王道というか、おそらく池井戸節の得意技? でも、それでも読ませるのは筆量ですね。
登場人物と同じく震え、そして泣く。
開発の喜びと悔しさに完全憑依です。
資金が足りないのは大企業も同じだとUSJ本(これ)に書いてありましたが、中小の身を切る辛さと言ったら、違う意味で涙も出ますよ。この銀行ネタはもう懲り懲り。
十五章からはノンストップ。
一気にエンディングまでラストスパート。
お正月の駅伝やマラソンを観ている日本人になにがヒットするかよく知ってるんですね。モチーフ選びあざといけれど、わたしは初めての池井戸作品だったので、楽しかったです。

こはぜ屋が開発するランニングシューズが「陸王」です。
明確なデザインは不明なので、ドラマ化にあたりどうするのかとちょっと検索してみたら、モデルになった足袋屋さんがちゃんとありました。

きねや
http://kineyatabi.co.jp/kineya/
ランニング足袋無敵
http://kineyatabi.co.jp/kineya/?page_id=1896
Amazonでも売られています。

[無敵]MUTEKI 【ランニング足袋】伝統職人の匠技が創り出すランニングシューズ

 
作中こはぜ屋に対して大手シューズメーカー「アトランティス」(アディダスがモデル?)がライバルとして出てきます。
そのアトランティスのシューズマイスターが村野。
モデルは三村仁司氏
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/othersports/rikujo/2016/07/21/post_661/

読んでいて、わたしは経営者には到底なれないと胃が痛くなりそうでした。
でもそれも、自分が一人だからそう思うんです。会社ってひとりでやるもんじゃない。
ひとりでは拡大も新しいこともできない。
池井戸作品の良さって、こういう価値観を説教臭くなく描けるところじゃないかな。

作中グッと来た箇所。
・彼らの多くは、アトランティスを選んでいるのではない、村野を選んでいる。P258

・「進むべき道を決めたら、あとは最大限の努力をして可能性を信じるしかない。でもね、実はそれが一番苦しいんですよ。保証のないものを信じるってことが」P296

・「ビジネスというのは、ひとりでやるもんじゃないんだな。理解してくれる協力者がいて、技術があって情熱がある。ひとつの製品を作ること自体が、チームでマラソンを走るようなものなんだ」P337

・「必ずしも品質の高いものなら売れるというわけではないですからね。品質が高いものならいくらでもあります。だけど、品質が低くて売れるものはない。それが現実だと思ったほうがいい」P365

タイピングしていて、あっこれ伏線じゃんと気がつきました。
ドラマではどこまで再現されるんだろう。今年10月製作はTBSです。
http://www.tbs.co.jp/rikuou_tbs/


池井戸作品、図書館で人気。

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