んっとおもしろかった。
ちゃんとお金をかけて調査分析しているテキストの読み応えといったら。
曖昧なWEBにころがっているテキストとは全然違います。


元になっているデータは「ブランドデータバンク(bdb)」といって、マクロミルが年二回実施している3万人の調査です。
回答はPCからしかできません。だってめっちゃ項目多いんですよ。
PC環境にあるという点では回答に偏りが出るかも知れませんが、それでも20歳~69歳までの広範囲にわたって同じ項目で分析できるのは大きな強みでしょう。

前段にあたる「はじめに」だけ読んでも好奇心が刺激されます。
先日読んだ「「人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか」 玄田 有史 (編集)」(感想ログ)の分析と同じです。
政府の出している景気回復宣言は正しくなかった。そして世代間の歪み。データは正直です。
ウソついてるの誰だ。
「世代×性別×ブランドで切る! 第5版」
<世代編>
性別と5歳区切りの年齢にキャッチがついています。
「世代×性別×ブランドで切る! 第5版」
20代前半女性の所有(ここがポイント)ブランドリスト。靴もちゃんとあるよ。

分析は複数人でされているのか不明ですが、書き起こしはなんとなくひとりでやってるような。
とにかくずばずばと辛いです。読んでいて気持ちいいほど。
いまこのようにしっかりしたテキストはネットでそうお目にかかれないです。
お金を払う価値がある。

●空気感を可視化


「それにしても日本においては女性の経済行動ばかりネタにされて、男性は何やってるの?」と先日ブログに書きましたが(過去ログ)、この本で判明しました。
恐ろしく保守的です。
30代前半男性の分析には「評価されたい、癒されたい」というキャッチがついています。
そしてとにかく新しいものを探さ「ない」ことに驚きました。
音楽やタレントの好みが上の年代(40代50代)と変わらないのです。
どんだけアンパイを好むのか。オッサン化にも程がある。
そら目新しい行動がないのでネタにならないはずです。

自分より若い人年上の人、そして異性の考えていることなんてもっとわからないから、こういった行動分析から見える意識というのは実に興味深いです。

ユニクロ+GUが「国民服」と言われているのがデータに出ています。
とくにユニクロは65-69歳男性カテゴリだけで所有ブランド2位ですが、他は全部1位です。
65-69歳男性も2位(ポイント7.8)であっても、1位のバーバリー(ポイント8.3)とのポイント差はわずか0.5。3位のダーバン(ポイント3.3)には追随できない。

個人的にショックだったのは、ラコステを好むのが50歳以上の男性だけなこと。
これなぜかというと、社会に出たときに親しんだブランドだから、年を重ねてまた懐古するという現象だそうです。
大丸とグランフロントのラコステ売り場ではオッサン見たことないけど…

●ブランドを育てること


年代ごとでどんなブランドが好まれるのかという変移を見比べることもできるし、一定ジャンルの<5年間の変化編>もあります。
「世代×性別×ブランドで切る! 第5版」
こちらは洗剤の変化です。
2011年と比べて2016年は文字がみっしり、つまり商品名が長くなっているんですよ。
これの意図することはなにか、読んでみて下さい。 または売り場で考えてみて下さい。

お酒を飲めないわたし、逆におもしろかったのがビール類の分析でした。
日本てほんと独自路線を突っ走っているんですね。でもそれも、飲み放題文化のおかげじゃないの? 
今後飲酒が規制されたらまた新しいアルコールカルチャーができるんだろうか。

シャンコン市場では資生堂TSUBAKIの失速がざっくり斬られていました。
アユーラもそうだけれど、資生堂は初動のブランド力だけは強い。
ユーザーの年齢が上がったときの対応がまったくできていない。
この辺がうまくできているブランドもちゃんとあります。

ソーシャルネタに触れられているのは、シャンコンの「BOTANIST(ボタニスト) 」でした。

BOTANIST ボタニカル モイストセット

やたらドラッグストアで目にするのは、大阪の会社だというわけでなく、SNSを使ってちゃんと流行っているからなんですね。
20代前半
20代女性に所持されている腕時計リスト、4位のダニエルウェリントンもソーシャルで売れたアイテムと思います。
次回に詳しく書きます。(→書きました


bdbの10年前のデータと比べて商品名も全く違っていて、分析が非常に難しくなっているとあります。
商品(サービスも)が膨大になり、掲載されている項目の商品も全部網羅できているのか怪しいほど。
そして今後もわたしたちは毎日選択を迫られていくのでしょう。
誰かにコントロールされながら。


過去の版を読み返して答え合わせしたいな。