読んだ本シリーズ、「火車」です。
「かしゃ」ってタイプしても変換してくれません。
1992年発行の本で、わたしは10代で初めて読んで、20代で読み返した以降、久しぶりの読み返しです。


主人公の本間刑事は足に怪我をして休職中なので、都内を移動するときは時間や目的地までの地図を入念に調べています。
今みたいにスマホがない1990年代、どうやってそれらを調べていたのか。
わたしは「ぴあMAP文庫」を愛用していました。
ただの地図ではなく、カルチャー・グルメ・アミューズメントガイドです。
ぴあマップ文庫
関西版の91年、96~97年、97~98年。
関東版も持っていたのに、見あたりません。
以下の画像は97~98年版より。
ぴあマップ文庫
↑私鉄とJR含めた沿線タイムチャート。
ぴあマップ文庫
↑料金表
ぴあマップ文庫
地下鉄のタイムチャート。料金表もあります。
これらを組み合わせて、自分で移動時間と料金を計算していた。
関東版には、車両乗り換えもあったはず。
ぴあマップ文庫
梅田の地図。
地図がないとどこにも行けないからよく買っていたのですが、ぴあMAPの地図ってピカイチに見やすく、リピートしたのはぴあMAP文庫のみでした。

http://internet.watch.impress.co.jp/docs/column/chizu2/755525.html
「ぴあMAPは日本の出版地図の“金字塔”とも言える地図で、それ以降の地図デザインに大きな影響を及ぼした。ぴあMAPより前は、日本国内の書 店で販売されている地図は、多色の線画(ポリライン)によって作られた平面に、基本的には国土地理院の地形図図式に則った注記文字列が配置されるデザインだった。」

ですよねー! やっぱりぴあMAPの地図って特徴ありましたよ。
ただの地図ではなく、そこに具体的になにがあるのかお店が見えてくる地図だったんです。
これの関東版を片手に東京でよく買い物していました。
本に書き込みをするのは好きじゃないけれど、この地図だけは別で、行きたいお店をちまちま書き足していましたね。
しかし高低差はわからず渋谷にいったとき坂の多さには辟易しました。大阪人は、都会はどこ行っても平たいと思ってるのよ。

表紙や中の構成も91年版の方が読みやすいし好きです。
96~97年、97~98年のリアルイラストが本来ぴあの特徴だと思いますが、こういうタッチ好きじゃなくて買う気が失せた。

火車に戻ります。
驚いたことに意味のわからない単語が二つ出てきて詰まりました。
一つ目は本間刑事が大阪に調査に行って東京に戻ってきたとき、大阪を振り返る描写の中に「東京は一本道を入るとしもたやがあるが、大阪にはない」
商業都市として効率の良い街だという評でした。

ここにでてきた「しもたや」がさっぱり意味がわからなかったのです。
http://gogen-allguide.com/si/shimotaya.html
しもた屋 (仕舞た屋)
しもた屋は、「しもうたや」が音変化した語。
「しもう」は、「終える」「片付ける」を意味する動詞「仕舞う(しまう)」に由来し、漢字では「仕舞屋」「仕舞うた屋」「仕舞た屋」などと書く。
つまり、もともと商売していたがお店をたたんでそのまま家として住み続けている様子かな。
画像検索してみるとああとわかりますが、確かに梅田にはこういう建物はないな。

もう一つは物語クライマックスに出てくる単語、「さなきだに」
http://dictionary.goo.ne.jp/jn/88792/meaning/m0u/
さ‐なき‐だに【▽然なきだに】
[連語]そうでなくてさえ。ただでさえ。
この二つ、10代20代のわたしも意味がわからなかったと思うんですが、当時どこを読んでいたのかしらね!?
 
「火車」はお金の話です。
推理小説は犯行の動機が、金、怨恨、色恋沙汰というのが多い。
小学生の時に読んだ赤川次郎の小説にあった
「お金は魔物だ」
という台詞は特に心に残っています。
だから10代で「火車」を初めて読んだときもお金の恐ろしさに戦いたものですが、今回の読み返しではそんなことはなかった。
30代でお金がどういうものなのかを学んだからです。
お金は悪ではなく、むしろ人間の方が怖いってこと。
英語よりお金の勉強を小学校に導入した方がいい。

宮部みゆきは少年を描くのがうまい。
登場人物の中でも群を抜いて、「そこにいる」感じがしてくるのです。
存在感というより、うーんなんだろうこの感覚。
新しめの作品と時代物を読む気になれないのは、初期の作品に出てくる少年像のせいかも。
わたしショタじゃないんですけどね。
「ステップファザー・ステップ」また読み返そうかな。



なんと。表紙が荒川弘Verになったんだ。


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