オススメされた「3月のライオン」著者羽海野チカの前作、「ハチクロ」全10巻の感想です。
当たり前ですがネタバレ全開です。
3月~がおもしろかったので、どうにも1巻から読み進めることが出来なかったハチクロに再度挑戦する気になって、午前1時から8時で完読しました。
おもしろいというよりも先が気になり一気読みしたのですが、読了後心身ともに具合が悪くなった。
いくら夜型人間でもこんな読み方すればそら体調も悪くなるのですが、気が済んでいるからいいのです。
それよりもマンガだ。
読んだあと、なんともいえない「気持ち悪さ」が残りました。
水が溜まっていると思ってバケツに手を突っ込んだら、血液でしたみたいなショック。
それによって精神的にぐらぐらと気分が悪くなり、一日中なにもかも現実味のない感覚で過ごしたのです。
映画ならともかく、マンガでこんな体験はそうそうありません。
手塚治虫の「火の鳥」は読後虚無感に襲われますが、あれとは別。
なんてえぐい話なんだと驚きました。
絵がかわいらしいから事前イメージを完全に覆され、それと同じくこんな絵でこんなえぐい話を書くとは、作者の確信犯っぷりに、さすが同人上がりというちょっとイヤらしい感想を持ってしまう。
一番えぐいと感じたのは、野宮のやりようです。
真山じゃないよ。
真山への失恋に浸り恋情を手放しきれないあゆに対して、その心情にある隠れたメリットなどざっくざっくえぐり出す。
おまえー、他人にそんな偉そうにいえる立場かよと、わたしがもしそんなことされたらあゆみたいにめそめそ泣かず、ベルリンの壁設立です。
あゆがべそべそすんのわかっててやってんだろう。
こうやればこうなるとわかった視点でのやり方はとても嫌いなので、一番ぞっとしたのはこの野宮→あゆの、調略めいたやり方でした。
まあ、恋愛で相手落とすための作戦といえばそうですけどおお~~
小娘にえぐすぎるでしょ。そのくせ微妙に王子だから、気持ち悪い。
このマンガにはほんとの意味でも悪人が出てこないから(出さないようにしている?)、より野宮が中途半端な気持ち悪い人になっている気がします。
真山の理花に対するストーカー行為がなにかと話題になっていたようですが、これ、真山が女性ならよくあることじゃないかと。
遠目から相手の気配を探るのって、あゆもコミックス前半は真山に対してよくやっていたし、あれと同じようなもんと思います。
女性だとあんな風に仕事場の照明を見上げながら、手作り弁当持っていくパターンです。
「&(アンド)」おかざき真理 では、育ちゃんがシロさんにやってた。いわゆる王道。
『この子とこの子がくっつくんだろうな』
というのが見えて来るものですが、ハチクロ10巻においてその予想は全部はずれ、「えっなんでそことくっつくの!?」という連続でした。
はぐは、森田くんとのデート(買い出しか)でトイレも言い出せないほどの恋情があったのに、あれの処理はどうなったのか。
このマンガは王道がやりたいんじゃなくて、萌えを詰め込んで話を見せたい、萌えを動かしたかったのかなと思いました。
竹本くんは最初短髪だったのに途中からヘアスタイルが変わって、メインキャラ男子は全員ロングになっちゃった。
女性向けマンガだと男子キャラが短髪ではファンレター来ないのに、ロングになると途端に人気が出る傾向があります。これ萌えスタイル。
料理についてもおいしそうなシーンはたくさんあるのですが、肝心のメイン女子二人は料理センスが壊滅的です。
王道をハズしてきよる。
真山が憧れる年上の女性、理花の造形は完全に綾波レイです。
TV版新世紀エヴァンゲリオンの世代なので、少年マンガが一気に綾波レイに染まったことはとてもよく覚えています。 わかりやすい例だと「るろうに剣心」の雪代巴。
少女マンガにも綾波レイは進出していたのか。
わたしなんかは綾波レイの造形があざとすぎるから、あえてアスカの方が好きだけれど、男はみんな、綾波レイが好き。
8巻の北海道展開はちょっと意外でした。
理花にはあのまま亡霊のように生きていただき、そして死ぬという、永遠に手に入らない真山のマドンナでいてあゆも同じく閉じない円で生きるというのもおもしろかったのに(わたしが一番残酷)。
あと8巻の展開に、「そこ朝チュンじゃなくもうちょっと詳しく描きましょうよ!」と悶えました。
賛否両論なギャグシーンですごく斬新だったのは、あゆが寝ているときに出てくるユニコーンです。
貞操を守るべく出現するあのアイコン描写は、ハチクロの中で一番好き。
あゆの処女性の表現にまさかのユニコーン。これは嫌みないです。
「3月~」では三回泣いたのに、こちらでは最後のサンドイッチのシーンでだけ泣きましたが、あそこは誰でも泣くでしょう…
だってこのマンガ、竹本君が一番まともで竹本君の成長ストーリーだと思わないと、どこを切っても気持ち悪いしか残らなくなる。泣いて浄化の必要あり。
掲載誌が二度変わり、方向転換など大変だったと思いますが、最後までがんばればいちおうは浄化装置が用意されています。
ストーカーなどいわれていますが、ハチクロに出てくる男性キャラで真山が一番好きです。メガネスキーですから。
「3月のライオン」の方がおもしろかったです。
オススメのきっかけがなければ手に取ることはなかったので、ありがとうございました。
ハチクロはリピートしませんが、ライオンはリピできます。
当たり前ですがネタバレ全開です。
3月~がおもしろかったので、どうにも1巻から読み進めることが出来なかったハチクロに再度挑戦する気になって、午前1時から8時で完読しました。
おもしろいというよりも先が気になり一気読みしたのですが、読了後心身ともに具合が悪くなった。
いくら夜型人間でもこんな読み方すればそら体調も悪くなるのですが、気が済んでいるからいいのです。
それよりもマンガだ。
読んだあと、なんともいえない「気持ち悪さ」が残りました。
水が溜まっていると思ってバケツに手を突っ込んだら、血液でしたみたいなショック。
それによって精神的にぐらぐらと気分が悪くなり、一日中なにもかも現実味のない感覚で過ごしたのです。
映画ならともかく、マンガでこんな体験はそうそうありません。
手塚治虫の「火の鳥」は読後虚無感に襲われますが、あれとは別。
リンク
なんてえぐい話なんだと驚きました。
絵がかわいらしいから事前イメージを完全に覆され、それと同じくこんな絵でこんなえぐい話を書くとは、作者の確信犯っぷりに、さすが同人上がりというちょっとイヤらしい感想を持ってしまう。
一番えぐいと感じたのは、野宮のやりようです。
真山じゃないよ。
真山への失恋に浸り恋情を手放しきれないあゆに対して、その心情にある隠れたメリットなどざっくざっくえぐり出す。
おまえー、他人にそんな偉そうにいえる立場かよと、わたしがもしそんなことされたらあゆみたいにめそめそ泣かず、ベルリンの壁設立です。
あゆがべそべそすんのわかっててやってんだろう。
こうやればこうなるとわかった視点でのやり方はとても嫌いなので、一番ぞっとしたのはこの野宮→あゆの、調略めいたやり方でした。
まあ、恋愛で相手落とすための作戦といえばそうですけどおお~~
小娘にえぐすぎるでしょ。そのくせ微妙に王子だから、気持ち悪い。
このマンガにはほんとの意味でも悪人が出てこないから(出さないようにしている?)、より野宮が中途半端な気持ち悪い人になっている気がします。
真山の理花に対するストーカー行為がなにかと話題になっていたようですが、これ、真山が女性ならよくあることじゃないかと。
遠目から相手の気配を探るのって、あゆもコミックス前半は真山に対してよくやっていたし、あれと同じようなもんと思います。
女性だとあんな風に仕事場の照明を見上げながら、手作り弁当持っていくパターンです。
「&(アンド)」おかざき真理 では、育ちゃんがシロさんにやってた。いわゆる王道。
リンク
ハチクロってこういう恋愛マンガの王道が悉く採用されません。読んでいくうちに、
『この子とこの子がくっつくんだろうな』
というのが見えて来るものですが、ハチクロ10巻においてその予想は全部はずれ、「えっなんでそことくっつくの!?」という連続でした。
はぐは、森田くんとのデート(買い出しか)でトイレも言い出せないほどの恋情があったのに、あれの処理はどうなったのか。
このマンガは王道がやりたいんじゃなくて、萌えを詰め込んで話を見せたい、萌えを動かしたかったのかなと思いました。
竹本くんは最初短髪だったのに途中からヘアスタイルが変わって、メインキャラ男子は全員ロングになっちゃった。
女性向けマンガだと男子キャラが短髪ではファンレター来ないのに、ロングになると途端に人気が出る傾向があります。これ萌えスタイル。
料理についてもおいしそうなシーンはたくさんあるのですが、肝心のメイン女子二人は料理センスが壊滅的です。
王道をハズしてきよる。
真山が憧れる年上の女性、理花の造形は完全に綾波レイです。
TV版新世紀エヴァンゲリオンの世代なので、少年マンガが一気に綾波レイに染まったことはとてもよく覚えています。 わかりやすい例だと「るろうに剣心」の雪代巴。
少女マンガにも綾波レイは進出していたのか。
わたしなんかは綾波レイの造形があざとすぎるから、あえてアスカの方が好きだけれど、男はみんな、綾波レイが好き。
8巻の北海道展開はちょっと意外でした。
理花にはあのまま亡霊のように生きていただき、そして死ぬという、永遠に手に入らない真山のマドンナでいてあゆも同じく閉じない円で生きるというのもおもしろかったのに(わたしが一番残酷)。
あと8巻の展開に、「そこ朝チュンじゃなくもうちょっと詳しく描きましょうよ!」と悶えました。
賛否両論なギャグシーンですごく斬新だったのは、あゆが寝ているときに出てくるユニコーンです。
貞操を守るべく出現するあのアイコン描写は、ハチクロの中で一番好き。
あゆの処女性の表現にまさかのユニコーン。これは嫌みないです。
「3月~」では三回泣いたのに、こちらでは最後のサンドイッチのシーンでだけ泣きましたが、あそこは誰でも泣くでしょう…
だってこのマンガ、竹本君が一番まともで竹本君の成長ストーリーだと思わないと、どこを切っても気持ち悪いしか残らなくなる。泣いて浄化の必要あり。
掲載誌が二度変わり、方向転換など大変だったと思いますが、最後までがんばればいちおうは浄化装置が用意されています。
ストーカーなどいわれていますが、ハチクロに出てくる男性キャラで真山が一番好きです。メガネスキーですから。
「3月のライオン」の方がおもしろかったです。
オススメのきっかけがなければ手に取ることはなかったので、ありがとうございました。
ハチクロはリピートしませんが、ライオンはリピできます。
ハチクロで検索するとトップに出てくる感想がこちら。