こんな細かいこと考えて、マンガって書かれてるんか!!
自分にはできない!!
このレベルまで考えていないと、完結まで続けられないのもわかるわというぐらい、キャラクターの設定、世界観がみっしり構築された上で、余計なものを省いた結晶があの誌面、ジョジョなんですね。
本を読んでいるとき真っ先に浮かんだのは、高河ゆんです。
別名『未完の女王』
同人出身作家の高河ゆんが商業でビューした1986年から数年、少女漫画界はどこ見ても高河ゆんの影響を受けた絵がざっくざくで、新人賞応募のカットなんて高河ゆんの絵そっくりな人だらけだった。
少女漫画界だけでなく、のちにエロ漫画家の男性と話すことがあったんですが、男性漫画家にも絵柄と画面構成(雰囲気)は衝撃だったそうです。
高河ゆんって漫画の描き方を全く勉強せず完全自己流、デビューしてから描き方の本を読んだ人です。
だから画面とか絵が、『ふつうはしないわ』ということがじゃんじゃんありました。
いまでも彼女の漫画を読んでいて気になるのは、右向きの顔の下手さ加減です。
左はいいんですよ、右利きの人は左は上手。
問題は右。
右がほんとにへたくそで、
「あ、これ右向きをごまかして、まだ描きやすい横顔にしてるな」
とかバレバレでした。
CGの時代になって右向きの顔を、
「左向きの反転処理」
で済ませることが増えていますが、不自然だから反転したのがすぐわかる。絵が下手です。
こういう、右向きが下手なプロ少女漫画家は、なかよしりぼん少女コミックにはいなかった。
絵的にはプロレベルじゃないのに、
「絵柄と画面構成(雰囲気)は衝撃だった」
これでやっていけてしまい、以降、少女漫画のレベルって幅広くなったと同時に、下がったと感じます。
おまけに未完作品の多いこと。
本人も言っていますが、高河ゆんは「みんなこういうの好きだよねー!」っていう、いまでいう『萌え』を狙ってがんがん投下してきます。
描きたいことを描いてしまったら、そこで終わり。 だから未完が多い。
世界観やキャラクターの見せたいポイントだけを描く人。
複数社の編集部でも満足に御することが出来ないってことは、編集というより作者自身の問題と思います。
「荒木飛呂彦の漫画術」にはテーマの重要性が書かれていて、なるほど、高河ゆんのマンガに感じる違和感は、テーマのなさだなと。「萌え」と「テーマ」は別ものですから。
でも、高河ゆんは先がどうなるのか気になる進め方をするんだよなあ。
萌えに浸れるときってすごい楽しいもん。もう、消費に溺れるという感覚。萌えに飢えて次へ次へとなる。
これが高河ゆんマンガの魅力だったんでしょう。 (すでに神通力は消え去っている感)
萌えというコンテンツを読ませたいのが高河ゆん、漫画を読ませたいのが荒木神って感じ。
P176「ペンよりも紙が大事」
以前はGペンを使っていたが、いまは一部の線に使うのみで90%は耐水性のあるサインペンと筆で描いているとあります。
Gペンの金属が、サインペンや筆と比べて重く、使い続けると体にダメージがくると。
井上雄彦も途中から筆で描くようになっています。 安彦良和も面相筆で「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」を描いていました。
力入れずに描けるし、表情も細かく出せるから筆を使うのわかりますわ。
P237 「ネームに日本の漫画の特徴がある」
ここおもしろかった!
実際のジョジョのネームを例に、同じシーンが欧米のマンガだとどうなるか比較してあり、あーそうだ、たしかにアメコミってこうだ。
アメコミがどういう意図でコマ割と見せ方をしているのか理解していないと、作れないです。
P243 描いたものは忘れる
自分が傑作を描いたと満足したら、次のアイデアが生まれなくなってしまう。
同じ理由で、人から褒められても本気にしない。
褒められて伸びるのはこどもだけで、むしろミスや失敗から次の作品へのヒントをもらい、描き続けられるのだと思います。
読んでいてとても神妙な心持ちになりました。
自戒を込めてメモした。
ジョジョマンガしか読んだことがなかったんですが、荒木先生の文章はとても読みやすく、すんなり入ってきます。
なんか、目の前で説明してくれているような感覚でとても楽しい読書でした。
会ったこともないのに。
コンテンツは消費されますが、漫画は残ると思わせる一冊。
集英社新書なので、案外図書館に入荷していますよ。
自分にはできない!!
リンク
そして、いまの若手でこんなことまで考えて書いている人がいるのか疑問。
このレベルまで考えていないと、完結まで続けられないのもわかるわというぐらい、キャラクターの設定、世界観がみっしり構築された上で、余計なものを省いた結晶があの誌面、ジョジョなんですね。
本を読んでいるとき真っ先に浮かんだのは、高河ゆんです。
別名『未完の女王』
同人出身作家の高河ゆんが商業でビューした1986年から数年、少女漫画界はどこ見ても高河ゆんの影響を受けた絵がざっくざくで、新人賞応募のカットなんて高河ゆんの絵そっくりな人だらけだった。
少女漫画界だけでなく、のちにエロ漫画家の男性と話すことがあったんですが、男性漫画家にも絵柄と画面構成(雰囲気)は衝撃だったそうです。
高河ゆんって漫画の描き方を全く勉強せず完全自己流、デビューしてから描き方の本を読んだ人です。
だから画面とか絵が、『ふつうはしないわ』ということがじゃんじゃんありました。
いまでも彼女の漫画を読んでいて気になるのは、右向きの顔の下手さ加減です。
左はいいんですよ、右利きの人は左は上手。
問題は右。
右がほんとにへたくそで、
「あ、これ右向きをごまかして、まだ描きやすい横顔にしてるな」
とかバレバレでした。
CGの時代になって右向きの顔を、
「左向きの反転処理」
で済ませることが増えていますが、不自然だから反転したのがすぐわかる。絵が下手です。
こういう、右向きが下手なプロ少女漫画家は、なかよしりぼん少女コミックにはいなかった。
絵的にはプロレベルじゃないのに、
「絵柄と画面構成(雰囲気)は衝撃だった」
これでやっていけてしまい、以降、少女漫画のレベルって幅広くなったと同時に、下がったと感じます。
おまけに未完作品の多いこと。
本人も言っていますが、高河ゆんは「みんなこういうの好きだよねー!」っていう、いまでいう『萌え』を狙ってがんがん投下してきます。
描きたいことを描いてしまったら、そこで終わり。 だから未完が多い。
世界観やキャラクターの見せたいポイントだけを描く人。
複数社の編集部でも満足に御することが出来ないってことは、編集というより作者自身の問題と思います。
「荒木飛呂彦の漫画術」にはテーマの重要性が書かれていて、なるほど、高河ゆんのマンガに感じる違和感は、テーマのなさだなと。「萌え」と「テーマ」は別ものですから。
でも、高河ゆんは先がどうなるのか気になる進め方をするんだよなあ。
萌えに浸れるときってすごい楽しいもん。もう、消費に溺れるという感覚。萌えに飢えて次へ次へとなる。
これが高河ゆんマンガの魅力だったんでしょう。 (すでに神通力は消え去っている感)
萌えというコンテンツを読ませたいのが高河ゆん、漫画を読ませたいのが荒木神って感じ。
P176「ペンよりも紙が大事」
以前はGペンを使っていたが、いまは一部の線に使うのみで90%は耐水性のあるサインペンと筆で描いているとあります。
Gペンの金属が、サインペンや筆と比べて重く、使い続けると体にダメージがくると。
井上雄彦も途中から筆で描くようになっています。 安彦良和も面相筆で「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」を描いていました。
力入れずに描けるし、表情も細かく出せるから筆を使うのわかりますわ。
P237 「ネームに日本の漫画の特徴がある」
ここおもしろかった!
実際のジョジョのネームを例に、同じシーンが欧米のマンガだとどうなるか比較してあり、あーそうだ、たしかにアメコミってこうだ。
アメコミがどういう意図でコマ割と見せ方をしているのか理解していないと、作れないです。
P243 描いたものは忘れる
自分が傑作を描いたと満足したら、次のアイデアが生まれなくなってしまう。
同じ理由で、人から褒められても本気にしない。
褒められて伸びるのはこどもだけで、むしろミスや失敗から次の作品へのヒントをもらい、描き続けられるのだと思います。
読んでいてとても神妙な心持ちになりました。
自戒を込めてメモした。
ジョジョマンガしか読んだことがなかったんですが、荒木先生の文章はとても読みやすく、すんなり入ってきます。
なんか、目の前で説明してくれているような感覚でとても楽しい読書でした。
会ったこともないのに。
コンテンツは消費されますが、漫画は残ると思わせる一冊。
リンク
集英社新書なので、案外図書館に入荷していますよ。
----------
「マシュマロ」は、回答・返信なしのお気軽ツールです。
「マシュマロってなに?」という方→解説はこちらへ
「マシュマロってなに?」という方→解説はこちらへ