人の方にはひらがなの変移を行書、草書と伝えることができますが、字源にあたる漢字を習得していない小学1年生にはどうしましょうと担当者に相談したところ、(前回

「字の変移を見せてあげてください」
「百聞は一見にしかず、お子さんは絵で直感的に理解されることが多いです」

なるほど。
というわけで、まずは書き順が引っかかった「ま」から。
「ま」
「“ま”はね、“末”っていう漢字を速く書きやすくちょっとずつ崩していったら、こうなるの」

じーっとこの変移を見るネネちゃん。
「この、ちょんちょんが丸くなるのは、なんで?」

繋がる過程をさらに書いた上で、
「丸くなるのは、“結び”っていうの。ネネちゃんの今日の教材にも、結びがあるで」
はっと教材を見る。

「これー!(「は」)」
そこに結びあるねー。他にもあるよ、どこかな?
「これー!(「よ」) あとはー、「ほ」!」

「ちょんちょんがつながると、まるくなるんや」
※結びについては、かきかたは平結び、ペン字は三角結びの教材です

そうそう。
漢字からひらがなにはなるけれど、ひらがなから漢字には変形しないよ。
逆方向にはならないの。

「この前“木”っていう字が集まって森になるっていうの、本で読んだよ」
おーよく知ってる!
じゃあ次ね。
「も」
「見たことある」
髪の毛をさして、「毛だ!」 

毛の変移は、草書体になって一画目と四画目がいっこに繋がるのが特徴。
「こことここ、最初は別だけど、途中から繋がってる」
ネネちゃんのすごいのは、自分で気がついて、なおかつその字の流れを自分でなぞるんですよ。
教材の添削をする際、どこがお手本と違うのかって自分ではなかなか気がつけないです。これはわたしも毛筆をやってて毎回頭を抱える。

だから添削の際は、直裁的に答えを書かず、お手本とのずれと十字線からどれぐらいとか、補助線や印でヒントを入れます。
最初から正解は書きません。

それから口頭でも説明するんですが、ネネちゃんは口頭説明なしで自分で気がつく子なんですよ。見写し力も高く、センスがとてもいいです。

基本的に、聞かれたことに最初から答えは出さず、
「なんだと思う?」「やってごらん」「ここに書いてみていいよ」
というように、促します。

そうすると、違いが理解できたときすごい楽しいんだよね。
こういう“知る”ことの楽しさを、教室で体験してほしいのです。

「ま」と「も」の書き順の仕組みを理解したネネちゃん、漢字がひらがなの元になるというのがわかり、
「せんせい、“と”は?」
「なんだろね、探してみよっか」
※「止」ですわよ
字源
「と」はネネちゃんの名前にあるんです。
自分に関連する文字の字源がなんかのか。
これが好奇心。

画像は教室用に字源をまとめた自作ノートより。
ひらがな編のあとはカタカナの字源になります。
丸数字は習得する学年で、色は前出(こちら)の「小学生のための漢字をおぼえる辞典」

とそろえました。
辞典とこのノートは、お子さんだけでなく体験に来られる親御さんにも好評です。

同じ鉛筆です!


ところで、ひらがな・カタカナ字源表、ひとりが見だすとわらわら集まってあーだこーだと見始めるのですが、

「これ、なにで書いたの?」

ふたりがいま手に持ってる、くもんの太軸三角鉛筆4Bです。

「「えー!」」
同じ鉛筆です。
「「うそやー!」」
なんですか、先生を疑うのかね!?
「おんなじやっちゅーねん! ほらほら、鉛筆の芯の濃さも同じでしょ!」
「「うそー!」」
「うそじゃないー! みんなと同じ鉛筆を使わないと、学習にならないでしょ。先生だけ上手に書ける道具使っても、みんなができないから意味ないでしょ!」
鉛筆は最強の文房具なんだってば。

図形から文字へ


思うに適当な書き順を書く子は、
「図形」
として書いている感覚じゃないかと。

「この形」にしてしまえばいいので、書き順は問題じゃないのです。
しかし、字源を理解すると書き順に流れが発生する。そして、この形には意味があるのだとわかる。
このときに、「図形」から「文字」に認識が切り替わるのでは。
図形のままでは、大人でもうまく書けないですから。

漢字の筆順も一つではないので、必ずこれで書きなさいという強制ではありません。
ただ、手の動きや方向などから、「こう書くと読みやすい」というのが筆順です。
正しい筆順で書いた文字は、崩しても判読しやすい。
でたらめな書き順とは違うと感じます。

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