足靴関係者の方よりずっとオススメされていた本作品、たまたま知り合いがDVD(特典付)を持っていて借りることができました。
両親にこれ知ってる? 観た? というと
「知ってるよ、こどもが誘拐される新幹線のやつやろ」
何人かに同じ問いをしたのですが、必ず新幹線というワードが入るんです。
しかし、新幹線は出てきません。
おもしろいんですが、これ勘違いするの仕方ないんですよ。
順を追っていきます。そしてなぜ、足靴関係者がオススメしたのかも。
わたしがモノクロの黒澤映画を観るのは、実は初めてです。
オープニングの音楽めっちゃ怖い!
横溝正史みたいなホラーが始まるんかと思った。

冒頭は会社重役のおじさまたちによる、現社長の追い出し作戦会議。
場所は、下々を見下ろす高台にある豪邸。
あるじは製靴会社『ナショナル・シューズ』社の常務・権藤金吾。
演じるのは三船敏郎。
手前にあるのはナショナル・シューズ(パナソニックを連想するわ)のパンプスです。
大塚製靴のものかなと推測。理由は後ほど。

現社長、そして権藤常務の靴作りへの姿勢はとてもまじめです。
他の3人の重役は
「いまの製品は頑丈すぎて壊れない(買い換えが減り、利益が減る)」
「女の子には服と帽子みたいにオシャレであればいい(超意訳)」
と、コスト削減したパンプスを提案するんです。
しかし権藤常務、
「帽子は頭に載せるものだ。しかし靴は、女の目方を乗せるものだ」
一緒ではないと一顧だにしません。きゃーかっこいい!
そして重役が持参したサンプルパンプスを手にとります。
従来品に比べて工程が半分だというこれがまた、見るからに安けないパンプスなんですわ。
なんちゅうもん履かせるねん。
映画の公開は1963年3月1日、ざっと50年前ですがもうすでに靴製造においてこういう考え方があったんですね。
当時の靴職人は靴が体に与える影響を今ほど考えていません、そりゃコスト削減に走るでしょう。

シャンクがない、中底がボール紙、さらにこのあともサンプルに対して粗悪な点を指摘し、ぐっちゃぐちゃにしちゃうのです。おお、気持ちいい。
シャンクは靴から見ることができないパーツで、WSでは実物見れるんですけど、普通の人には「??」な台詞です。
でも監督はそこを省かず、権藤常務の職人気質なところを見せています。
そして事件は起こります。
以下、Wikiのあらすじから引用。
百貨店のトラックって昔はこんなんだったんですね。バスみたい。
どっちかというと、大容量運搬というよりお得意様への配送用かな。
この前に、撮影はしたものの使われなかったシーンがあります。
■使われなかった横浜髙島屋配送部シーン(聖地巡礼 天国と地獄・ 別巻)
http://ogikubo-toho.com/seititenjigo2.html#5
うわー見たかったなあ、DVDにメイキング入れてくれたらいいのに。
■ナショナルシューズの工場はどこで撮影されたのか
http://ogikubo-toho.com/seititenjigo2.html#6
同じページ内なのでついでに。
靴工場に聞き込みに行くシーン、使われたのは大塚製靴の工場です。
上記解説ページ内に出てくる「かわとはきもの」誌は、No.112(2000.6)分よりPDF化されWEBで公開されています。
http://www.hikaku.metro.tokyo.jp/shisho/public.html
「詩歌・小説の中のはきもの」というコーナーは、No.128(2004.6)から連載開始。
興味のある方はいっこいっこクリックしてみて下さい。わたしは途中で力尽きました。
あと、まちライブラリーにも「かわとはきもの」の一部が寄贈されているので、関西の方はこちらで冊子版を読めます。
冒頭のパンプスを大塚製靴のかなと推測したのは、工場のシーンにパンプスが出てきたからでした。
もうひとつ権藤常務の職人気質を語るエピソードとして、鞄にある小細工をするシーンが出てきます。
16歳で見習い工として靴作りをスタートした常務、このとき鞄つくりも教わったというエピソードがさらりと語られるのですが、そうそう、靴メーカーって鞄も作りますね。
同じ革製品、革加工品だから納得です。
しかし、鞄メーカーがつくる靴、これについては手を出さない方が賢明です。
具体的にどことはブランド名を申しませんが!
なんで「靴⇔鞄」とならないのか、少し考えてみたらピンと来るでしょう。
鞄つくりと靴つくりは、素材が同じであってもつくりも用途も違います。
こんな調子で靴の話ばかり延々書いていますが、作中ではほんの冒頭だけです。
この映画、先が全く読めなくてハラハラしながら一気に観てしまいました。
黒澤監督ってすごいですね…
なんかもう、言葉がでない、感想になりません。
ファンが多いのもよくわかります。
最後まで観て、権藤常務が作った靴、履いてみたい、そう思わせるキャラクターつくりの深さがありました。
撮影場所を丹念に地取りされ、現在と比較してまとめられているサイトがあるので、視聴後ご覧下さい。
■天国と地獄(聖地巡礼)
http://ogikubo-toho.com/seititenjigo.html
横浜に縁のある方にはさぞかし見応えあるでしょう。
ページ下部にキャスト一覧があるのですが、めちゃくちゃ豪華です。
おまけに声のみ出演「熊倉一雄」氏の名前!! ポワロさーん!
ノンクレジットでよく突き止めることできましたね。 Wikiにも書いてないのに。
新幹線と勘違いする理由、「こだま」は当時、特急列車だったのです。



両親にこれ知ってる? 観た? というと
「知ってるよ、こどもが誘拐される新幹線のやつやろ」
何人かに同じ問いをしたのですが、必ず新幹線というワードが入るんです。
しかし、新幹線は出てきません。
おもしろいんですが、これ勘違いするの仕方ないんですよ。
順を追っていきます。そしてなぜ、足靴関係者がオススメしたのかも。
リアルすぎる冒頭
わたしがモノクロの黒澤映画を観るのは、実は初めてです。
オープニングの音楽めっちゃ怖い!
横溝正史みたいなホラーが始まるんかと思った。

冒頭は会社重役のおじさまたちによる、現社長の追い出し作戦会議。
場所は、下々を見下ろす高台にある豪邸。
あるじは製靴会社『ナショナル・シューズ』社の常務・権藤金吾。
演じるのは三船敏郎。
手前にあるのはナショナル・シューズ(パナソニックを連想するわ)のパンプスです。
大塚製靴のものかなと推測。理由は後ほど。

現社長、そして権藤常務の靴作りへの姿勢はとてもまじめです。
他の3人の重役は
「いまの製品は頑丈すぎて壊れない(買い換えが減り、利益が減る)」
「女の子には服と帽子みたいにオシャレであればいい(超意訳)」
と、コスト削減したパンプスを提案するんです。
しかし権藤常務、
「帽子は頭に載せるものだ。しかし靴は、女の目方を乗せるものだ」
一緒ではないと一顧だにしません。きゃーかっこいい!
そして重役が持参したサンプルパンプスを手にとります。
従来品に比べて工程が半分だというこれがまた、見るからに安けないパンプスなんですわ。
なんちゅうもん履かせるねん。
映画の公開は1963年3月1日、ざっと50年前ですがもうすでに靴製造においてこういう考え方があったんですね。
当時の靴職人は靴が体に与える影響を今ほど考えていません、そりゃコスト削減に走るでしょう。

シャンクがない、中底がボール紙、さらにこのあともサンプルに対して粗悪な点を指摘し、ぐっちゃぐちゃにしちゃうのです。おお、気持ちいい。
シャンクは靴から見ることができないパーツで、WSでは実物見れるんですけど、普通の人には「??」な台詞です。
でも監督はそこを省かず、権藤常務の職人気質なところを見せています。
現在とのリンク
そして事件は起こります。
以下、Wikiのあらすじから引用。
「ある夕べ、製靴会社『ナショナル・シューズ』社の常務・権藤金吾の元に、「子供を攫った」という男からの電話が入る。そのデパートとは、でーんタカシマヤ。
しかしそこに息子の純が現 れ、いたずらと思っていると社用車の運転手である青木の一人息子・進一がいない。
誘拐犯は遊んでいた子供を取り違えたのである。
誘拐犯もそれに気づくが、 そのまま身代金3000万円を権藤に要求する。
そこへデパートの配送員に扮して刑事たちが到着する。」
百貨店のトラックって昔はこんなんだったんですね。バスみたい。
どっちかというと、大容量運搬というよりお得意様への配送用かな。
この前に、撮影はしたものの使われなかったシーンがあります。
■使われなかった横浜髙島屋配送部シーン(聖地巡礼 天国と地獄・ 別巻)
http://
うわー見たかったなあ、DVDにメイキング入れてくれたらいいのに。
■ナショナルシューズの工場はどこで撮影されたのか
http://
同じページ内なのでついでに。
靴工場に聞き込みに行くシーン、使われたのは大塚製靴の工場です。
上記解説ページ内に出てくる「かわとはきもの」誌は、No.112(2000.6)分よりPDF化されWEBで公開されています。
http://
「詩歌・小説の中のはきもの」というコーナーは、No.128(2004.6)から連載開始。
興味のある方はいっこいっこクリックしてみて下さい。わたしは途中で力尽きました。
あと、まちライブラリーにも「かわとはきもの」の一部が寄贈されているので、関西の方はこちらで冊子版を読めます。
冒頭のパンプスを大塚製靴のかなと推測したのは、工場のシーンにパンプスが出てきたからでした。
もうひとつ権藤常務の職人気質を語るエピソードとして、鞄にある小細工をするシーンが出てきます。
16歳で見習い工として靴作りをスタートした常務、このとき鞄つくりも教わったというエピソードがさらりと語られるのですが、そうそう、靴メーカーって鞄も作りますね。
同じ革製品、革加工品だから納得です。
しかし、鞄メーカーがつくる靴、これについては手を出さない方が賢明です。
具体的にどことはブランド名を申しませんが!
なんで「靴⇔鞄」とならないのか、少し考えてみたらピンと来るでしょう。
鞄つくりと靴つくりは、素材が同じであってもつくりも用途も違います。
こんな調子で靴の話ばかり延々書いていますが、作中ではほんの冒頭だけです。
この映画、先が全く読めなくてハラハラしながら一気に観てしまいました。
黒澤監督ってすごいですね…
なんかもう、言葉がでない、感想になりません。
ファンが多いのもよくわかります。
最後まで観て、権藤常務が作った靴、履いてみたい、そう思わせるキャラクターつくりの深さがありました。
撮影場所を丹念に地取りされ、現在と比較してまとめられているサイトがあるので、視聴後ご覧下さい。
■天国と地獄(聖地巡礼)
http://
横浜に縁のある方にはさぞかし見応えあるでしょう。
ページ下部にキャスト一覧があるのですが、めちゃくちゃ豪華です。
おまけに声のみ出演「熊倉一雄」氏の名前!! ポワロさーん!
ノンクレジットでよく突き止めることできましたね。 Wikiにも書いてないのに。
新幹線と勘違いする理由、「こだま」は当時、特急列車だったのです。
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