サピンク現象の戦犯ってアパレルじゃないの? という前回のつづき。

アパレルもここ数年各ブランドの差別化が平坦化し、「これ作っとけばええやろ」的な展開をしています。
デザインなどブランドの根幹にあたる部分をアウトソーシングしだしたら、そら平坦化しますね。
魂入ってないですから。

そうやってメディアと一緒に「かわいい」と「モテ」でやりくりしてきたけれど、就職、結婚、出産、キャリア、リターンなどライフステージが変わる女性に対して、十把一絡げにアパレルダサピンクをやってきたしっぺ返しが、いま。

ライフステージが変わると、これまでの服が着れなくなり、いきなり服難民になる。
発信される「かわいい」と「モテ」を「なんとなく」「半強制的」に身につけてきた女性に対して、次のステージアイテムを用意していないことがまず致命的。

だって、服難民になったら「わたしに着れる服ってどこにあるんだろう」って探します。
パーソナルカラーだったりスタイル診断だったり、プチプラスタイリングをUPしているブログで自分に近い人を参考にしたり、探す方法は様々ですが、そのときに「あれ、日本って「かわいい」しかないな」と気がつきます。

かわいいを提供してきたメーカーは、かわいいを身につけられる人口が減ってきていること、所得も減ってきていることを予想できなかったのかしら。
マーケッターはそんなことまで読まないんかな。

外国人によるインバウンド購買なんて一時のものです。
ダサピンクで思考停止したものづくりをしてきたブランドは、結局ダサピンクの逆襲で息の根を止められつつあるように思います。
ピンクのバラ02
その際たるブランドは、わたしはワコールだと思う。

女性のための下着メーカーの割に、ずいぶんダサピンク的だと感じます。
何年経ってもインポートランジェリーとの差が埋まらない。
「かわいいカジュアル」は増えたのに。
ランジェリーの開発より、機能性下着の方に近年は特化している。
それ、ランジェリーじゃなくて工業製品です。

ワコールも決裁は男性なのですか? 
そうじゃないと思いたいけれど、もし女性がデザイン、カラバリ決裁していてあれなら、相当根が深いと暗澹としました。
女性用アイテムを作っている会社の方が、ダサピンク問題は根深いです。


メイドインジャパンに足りないのは、高品質でもなくかわいいでもなく、「美」。
「かわいい」と「美しい」の違いについては、別にまとめます。

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以上を書いたのは9月だったのですが、12月にワコールがやってくれました。
ネタ温めておいてよかった。

■ワコール 僕と12人のパンツっ娘。
http://store.wacoal.jp/ft/bros_pants12/index.jsp

ワコール僕と12人のパンツっ娘。
メンズパンツの擬人化です。

キャラデザの昭和感、CG使いたてのひとがよくやる塗り、こなれなさ、もさいことはさておき、この企画を通したワコールはもう、まともな経営陣じゃないのでしょう。
一応広報担当者のコメントも探したので、フォローになりませんが貼っておきます。

一緒にいたい「パンツっ娘」は誰ですか?ワコールが始めた総選挙

わたしには代理店の手八丁口八丁にのった、思考停止企画にしか見えません。
これを差し止められないところがいまのワコール。
ネットでは男女総じてフルボッコです。
昨年の「時代に磨かれる「からだ美」 」(行った感想日記)はすごく楽しかった分、いまのワコールが迷走しているのが辛い。