「お洒落は足元から」

よく見るフレーズですが、発祥元は全く不明です。
これ、男性の価値観に基づいた男性社会のみでの暗黙のルールだったんじゃないかと思います。

靴屋さんのブログを多数チェックしていますが、できるだけ足入れ画像で見たい。
いい靴は、平置きの状態と足入れの状態で全然違っています。
靴は足入れてなんぼ。
足入れしていない状態できれいな靴、かわいい靴は足の骨格を考えていない形状が多く、履いたら変なシルエットになります。
だから、足入れ画像ってすごく大事。

日本のブランドやファッション誌の足入れ画像を見たら、その靴が
「足のことを考えているか」
どうかがすぐわかります。
ひいては、そんな写真を掲載しちゃうメーカーの考えていることも全部透けて見える。

先日もゲットしたした某ブランドのパンフレット、わたしがディレクターなら全部撮り直しさせるわっていうレベルでしたよ。
そして、そこのパンプスは痛いと評判です。

靴のあらわすもの

先日あしくつ仲間としゃべっていたとき、おもしろいことを聞きました。
メンズの足入れ画像って、足元だけでなく全身入った写真が多いというのです。
※WEB画像検索だとECサイトがヒットするので参考になりません

つまり、ヘアスタイルや洋服も込みで、全体像から靴の提案をしている。
「この靴を履く人は、こういうヘアスタイルですよ」「こういう服とお似合いですよ」と暗に固定化されていて、なんだいそれと反発したくなるそうで。

メンズのファッション誌や靴専門誌をあまり見ないもんだから、そんなの気にしたことがなかったのですが(靴が見たけりゃ阪急メンズ館に行く)、そもそもメンズって服も靴も種類がもの凄く少ないです。

女性は種類が多い中から「これ」というのを選ぶだけで、そこそこお洒落。
でもメンズはそうじゃない。
限られた種類の中から選び抜き、ちゃんと考えて組み合わせてこそお洒落。
ディテールのちょっとしたこだわりなんかはメンズの方が突出しています。
これはアイテムの種類が少ないからこその工夫。

だから「お洒落は足元から」って、そもそもメンズにしか当てはまらない概念じゃないかと思いました。
男性の靴の歴史は富と権力の象徴で、女性にとっては隷属の象徴です。
そんな中で、女性にとって「お洒落は足元から」って出てこないでしょう。
靴のことが出てくるとしたら、それは“男性目線”での概念。
女性はそんなこと言わないんじゃないかなと思いました。

ヒールのあらわすもの

そんなことをつらつら考えていた先日、おもしろい動画とまとめを見つけました。
Dude Tries To Wear High Heels For An Entire Day
・男性が1日ハイヒールを履いて生活してみたら…悶絶する結果に
http://news.livedoor.com/article/detail/10336251/

画像はスクショなので、クリックしても再生しません。
動画の紹介は上記リンクから。
膝をカックンした状態でよろよろ歩行する男性の姿は、日本の若い女の子と重なります。
ハイヒールはちゃんと訓練したからだでないと、歩けませんよ。

この動画がきっかけでツイッター上に男性からごもっともな質問が出まして、それに対して女性からの悲痛なコメントがついたまとめ。

・「男「女はなんでヒールなんかはくんだ?」女「他に選択肢がないんだよ!」」
http://togetter.com/li/846228

まとめとさらにコメントが続々と寄せられ、中には「履きやすいヒールパンプス」へのリンクもあります。

学校の制靴と同じく、職場の服装規定にハイヒールっておかしいと思います。
以前に比べたら街中でのヒール率は減っているなと感じますが、社内はそうじゃない。
でもまとめにあるように、メイクをしているか、ヒールを履いているかという外見でその人の能力を推し量るというのは、会社内にいると本当にふつうの感覚でした。
ノーメイクの女性は、打ち合わせに同席させられないとかね。陰で女性がそういってますから。

いまの日本で働く女性は、ヒールを履くにも覚悟が要り、ヒールを捨てるのにも覚悟がいる、現状そんな感じですね。
靴にいろんな目的を盛りすぎなんですよ。