ォーキングを始めた父に、一度だけ言ったことがあります。
(父がウォーキング用シューズを買い換えた前回の続きです)

・靴ひもを締めた方が、歩くのが楽になるよ
・締めるときは、椅子に座った方が楽だよ


それだけ。

なぜ締めた方がいいのかという理屈はもちろん知っていますが、そんなことは“知りたい人”にはおもしろいけれど、興味のない人にはどうでもいいことです。
特にいま、どこか痛いとかなんの問題のない相手であればなおさら。

これまでひもを締めずに靴を履いてきた父には、このレベルからのスタートで十分でした。
(靴の構造などに興味のある方は、タグ「シューフィッターと語ろう」バックナンバーへ)

あしくつに限らず健康でもなんでも、これまで知らなかったことを知ったとき、誰かに伝えたくなります。

『いまはよくても、いずれ困るよ!』
という焦りの元に。そして
『そうならないように、いま、こうやったほうがいいよ!』
となりますが、これまでそこに問題を感じなかった人に言っても、なんら届きません。
それどころか、脅しです。
脅されてやらされるほど、イヤなことはない。

こどもの時大人たちは口々に、「大人になったら困るから、勉強しなさい」と言っていました。
でもやんなかった人の方が多いはず。やっても、イヤイヤ。
だって勉強よりもおもしろいことがあったもーん。
勉強が好きな子は、そんなこと言われなくてもやってる。

おもしろくないと、できないんです。
伝えるときは「こうしたらもっと楽になる」とか、
お子さんの場合だと
「靴ひも締めると、いまより速く走れるかもよ?」
というメリットを伝えることが大事。
デメリットをいくら声高に言っても、すでに痛みを持っている人にしか通じないです。

そして、同じアドバイスであっても、身内より他人に言われる方が素直に聞くんですよね~
だったら、あーだこーだいうよりもちゃんとした店員さんがいるお店に行く方がいいわけで。
今回はうちから行きやすかったので京橋のポディアさんに行ったのですが、

・スーパースポーツゼビオ
http://www.supersports.co.jp/
のような大型専門店にいる「スポーツシューフィッター」に選んでもらう手もあります。

・スポーツシューフィッター認定資格取得者リスト
http://www.jaft-foot.org/acquirer.html

こういった専門店に行ったことがなければ、そんなたいそうな…と尻込みしたくなる気持ちもわかりますが、初心者こそちゃんとした道具が必要だし、どうせ同じものを買うならプロから買う方が断然よい買い物になります。

同時に
「安いから買う」よりも「自分に合ったもの」
への切り替えになる、チャンスです。
※父の名誉のために書きますが、父は“安もの買い”ではないです

●「消費と買い物」の違い


足に合わせて調整してもらったサロモンシューズを履いて、その後父は毎日ウォーキングをしています。
ある日帰宅したとき、こんなことになっていました。
中敷き
!?

どうもこの日雨に降られたようで、中敷きを抜いて乾燥させていたみたいです。
びっくりしました。

いままで雨で濡れたNBもそんなにお手入れしていなかったのに(そもそも中敷きの存在すら…)、なんですかこの変わり様は。
もちろんこんなことをせいと申していませんし、わたし自身、雨の日に帰宅して履いていた靴の中敷きを抜いて干したことは、ない…。

スーパーで適当に買った靴なら、きっとこんなことはしない。
父は、この小うるさいこだわりの強いわたしの親とは思えない正反対の人なのに、
お店でやりとりをして、微調整をした「いい買い物」だから、自然と大事に扱うのです。

相手を変えようとする必要はなく、いい体験ができるところに案内するだけで十分。
買い物は、消費ではなく体験です。
だからわたしは買い物が好きなんです。

なおわたしはサロモンシューズに足が負けるため、履けないんです。
つくりがいいのはわかっていますが履けないため、どう違うのか体験できず無念。