まりにも閑散としたルクアイーレ地下一階のあと、エキマエルシェのKiBERA(キビラ)をご案内しました。

あそこはあしくつ好きにはある意味絶対はずせません。
KiBERA(キビラ)についての前回の日記はこちら
これまでの日記はタグ「KiBERA(キビラ)」から行けます。

平日夜、ちょうどオフィス帰りの時間帯、お店は混雑していました。
前回行ったのも同じ時間帯だったのに、混み方が全然違うのです。
3D計測は行列ができていました。
そして友達があの計測機はどこどこのだと確定してくれたので、以前の日記には修正入れています。

ぽやーんと計測機の様子を見ていたときのことです。
「ここの靴、いいわよ!」
ベンチで店員さんの品出しを待っていたマダムが、突然声をかけてきたんです。
「ここの靴は一日履いても、ココが痛くならないのよ」
ココというのは、拇指球(ぼしきゅう)、親指のつけ根部分。
拇指球
拇指球のGoogle画像検索
ヒールを履いているとたいてい痛くなるのがココ。

3月にキビラができたとき、なんと5足お買い上げし、その後リピートしているのです。
「あれで計測したらデータが残るので、買い物が楽なのよ」
このマダムは、いわゆる安もの買いのおばちゃんじゃありません。
ディオールのパンプスを持っているぐらいで、さらにこれまでの靴の買い方もちょっと特殊でした。
お仕事の関係かパンプスがお好きなのか、普通は5足も買わないです。
そしていま履いているこれがすごく楽だと、ある一足をオススメされました。

わたしはこれまでいろんなところで買い物してきて、お店でお客さんからこんな風にオススメされたことはありません。
せいぜい、どこかで試食したとき
「おいしいー!」
(つられて食べる)「あらほんとにおいしいわー」
ぐらいじゃないでしょうか。

お洋服の買い物であっても、その場にいる他人に勧めるなんてない光景です。
衝撃でした。
それほどまでにマダムはこれまでのパンプス選びに不満があり、キビラのパンプスがマッチングしたってことです。

さらに衝撃は続きます。
マダムの元に試着用のパンプスを店員さんが持ってくるのですが、一足ではなくちゃんと複数出しです。
購入履歴から合う靴の傾向を分析しているのかも。
マダムは最初の一足を履いてあーだこーだとやりとりし、そこで
「では、こちらの幅が細い方がいいかもしれないですね」
と、店員さんがさっとだしたもう一足を履き直したのです。

あらこれの方がいいわね、これに決めるわ。

うわー!!
いまの百貨店で、これができる売り場があるでしょうか。
ないわ。

マダムはパターンオーダーパンプスの試着でした。
つまり、S、M、Lのたった3種類のウィズしかありません。
でも、同じデザインでウィズ違いの試着ができるパンプスは、ほとんど百貨店にないのです。
せいぜいワコールのサクセスウォークぐらいです。
※どこの百貨店でも取り扱いがあるという意味で、ワコールを例にしました。

まず複数の試着靴を出してくることすら、できない売り場の方が多い。
同じデザインのウィズ違いなんて、コンフォート系ばっかしだ。
マダムはほかの靴もじゃんじゃん試着して、どんどんお買い物していました。
モノが売れないんじゃないんですよ、合うものならこうやってじゃんじゃん売れていくんです。

そしてこれは、百貨店や量販店で靴を雑貨のように売ってきた功罪です。
踵が抜ける靴に前足部に中敷きを入れてきたり、店員がいる売り場であっても、合わないものを売ってきた功罪。
売り上げ至上主義の売り場と大量生産の劣化靴が、まさにそのまんま売り場に牙をむいたと思いました。
あのキビラの現状を見てなんとも感じない靴の販売員は、売り場に立たない方がいいです。
そんな人から買う顧客がかわいそう。

いまは期間限定ショップですが、キビラはいずれ大阪梅田に上陸し、心斎橋か難波にも出店するでしょう。
(2015/8月追記:エキマルシェ大阪店は正式出店となりました)

友達がいくつかキビラの靴を試着したんですが、ハイアーチなのでキビラお得意の中敷きの効果が全く実感できなかったそうです。
ハイアーチじゃないつぶれアーチの人間(わたしだ)には、めっちゃ効果がある。

しかしハイアーチの友達でも、マダムがオススメしたある一足は
「これ、めっちゃ合う!」
だったんです。

価格的にも手軽なもんだから、いちいち店員さんを呼ばず気安く試着できるのもまた大きいんだわ。
中敷きはリペアできないけれど、へたってきたら買い換えたらいいぐらいの気持ちであれば(実際キビラではそれができる)、全然問題ない。

キビラのあの品出しを見てからこれまでの靴屋を見ると、なんで足長差しかないの? 同じデザインでなんでウィズ違いがないの?? って猛烈に物足りなさを感じました。
だから、キビラで買ってはまった人はキビラにすぐリピートに行くんでしょう。
それに楽だもん。

出店してもしなくても


キビラが梅田に出店するならどこかなと考えましたよ。
ブリーゼはないな。
西梅田は遠いし、コンランショップも撤退してビル全体的に元気がない。
ハービスは購買層が全然違う。
ルクアとイーレも購買層が違うし、家賃がまだ高い。

グランフロントは入れ替えのタイミングで入れそうだけど、大通り以外は論外。
イーマもない。ディアモールもない。
阪神は改装中でいずれ家賃は上がるでしょう。
そもそも百貨店には出店しないし。

となると、いまのエキマルシェは2012年のオープンなので家賃もほどほど(と勝手に思っている)、OL客の確保にもよく、実にいい立地だと思います。
えらく急な出店だったけれど、実績があればあのまま実店舗化できるんじゃないかな。

心斎橋難波だと、心斎橋筋はドラッグストアとファストファッションの安もん通りなので、スピードが求められるからオーダー靴はミスマッチな気がする。
パークスは遠すぎだから、出店するならなんばシティかな。

天王寺はちょっと若すぎだけど、奈良県の買い物客をアテにするなら出店はあり。
でもハルカスはナシ。
HOOPとandもガラッガラだから、キューズモールぐらいか。
そんなことを延々と考えていました。
しばらくKiBERA(キビラ)はチェックし続けます。

予想が大ハズレしてキビラが大阪から撤退しても、売り場の人は安心してはいけないです。
靴には足長以外のサイズ、ウィズがあるってバレたから。
そして既存の売り場に、ウィズ違いがないってバレたから。
ウィズ展開できない売り場なら、じゃあどうしたらその人の足に合わせることができるのか。
そこに問題意識を持って売り場・売り方を変えないと、いったん離れた方は帰ってこないです。
いいものをつくって、揃えて、並べても、伝わらなかったら【存在しない】のと同じ。