画は原作からか、それとも映像から入るかというお題があります。
わたしは映画に限らずアニメやドラマでも「映像から」が多い。
原作から入ると思い入れを裏切られたり、差異が目について肝心の映像に集中できないことが多い気がします。

(ここからは、いっこ前の映画「ロード・オブ・ザ・リング」についての日記の関連となります)

映画「ロード・オブ・ザ・リング」は監督筆頭に原作ファンのスタッフが集まって作られているため、映画→原作という入り方でしたが、原作を読んでからまた映画を見ても全く落胆することなく、むしろよくまとめられたなと思います。

原作を読んで「あっ」と思った台詞があります。
映画ではカットされているのですが、原作「旅の仲間」内でフロドが出会うエルフのギルドールの台詞。

「エルフは軽々しく忠告を与えることはめったにない。
忠告は賢者から賢者に与えても、危険な贈り物だから。」


この台詞を、ずーっと以前に別のマンガで読んでいたので驚きました。
紫堂恭子の「グラン・ローヴァ物語」第一巻です。
グラン・ローヴァ物語
潮出版社の装丁は、南伸坊。
グラン・ローヴァ物語1巻
主人公のサイアムがどうすればいいのかと迷ったとき、「放浪の賢者<グラン・ローヴァ>」と呼び称されているおじいちゃんのこたえ。
賢者なのに答えを教えてくれません。

初めて読んだのは10代の時で、問題の台詞は完全に読み飛ばしていたし、ここだけでなく物語の完結までおじいちゃんは答えをくれないのです。
なんで教えてくれないんだろうとだけ思っていました。

「グラン・ローヴァ物語」はその後も数年に一度、肉体的または精神的になにか大きな変化があったときに読み返していたのですが、30代になってから読み返して、初めてこのおじいちゃんの言葉の意味を理解したのです。
何度も読み返していたのに、このとき全4巻読み返したときは、これまでなんとも思わなかったところで泣き、そして全然違う印象の作品となりました。

著者自身は代表作「辺境警備」のなかで指輪物語の影響を受けていると明言しているのですが、改めて指輪物語を読んでから「グラン・ローヴァ物語」を読むと、なんと上手に指輪の世界観を料理し、また日本風にアレンジしたものかと唸ります。

「グラン・ローヴァ物語」単体の完成度も非常に高く、「辺境警備」よりもこの作品の方が好き。
最終的に提示される人間社会への問題提起は現代にも通じるし、かといって、いまもよくある「問題点の指摘」だけに終わらないエンディングは優しく力強くて、良質の物語です。

グラン・ロ-ヴァ物語(1) [ 紫堂恭子 ]

価格:740円

感想(4件)


「指輪物語」の原作にも含蓄ある名言が数多ありますが、読み返すのが大変なので、取っつきやすいこちらのコミックスをご紹介。 文庫で二巻です。

わたしの日記はこの言葉の意味がわかった前とあとで根底にあるものが変わっているのですが、具体的にどこの日記からというより、徐々にそうなったという感覚です。
たぶん、成長ってそういうもんなのかなと思います。

オタクなお正月はまだ続く。つぎはジョジョ