わたしの筋骨マスター、紬美(ゆみ)さんからいただいた本です。
ありがとうございます!

紬美さんは筋骨マニアですが、本職はバレエのワークから着物ライフにアプローチしている、着物マスターです。
着物で車を運転される姿にびっくりしました。
着付けレッスンもされていて、教わった友達は、お茶席がすごく楽だった。
他所で教わったのと、ずいぶん着心地が違ったよ~と言ってて、こういうのお洋服と和服の違いですね。
詳しくは紬美さんのブログ「日日華衣―バレエと着付けの〈ぷろむなーど〉―」まで。
http://ameblo.jp/you-me-tsumugi/

そんな紬美さんらしい、この文庫本。
先日再読した折にばしばしハマることがあり、すべてひっくるめての感想です。

この本は魔書です、読むと着物を着たくなり、和服生活を送りたくなります。

P16 突然の決意

注目は著者が和服生活になったきっかけ。
「もう、靴をはきたくない。ストッキングは、はきたくない。もうからだにぴったりした窮屈な下着を着けたくない。ならば、もう着物を着るしかない、という日が、ある日突然訪れた。」
これ以降、イギリス生活での靴の話が続き、細かい描写もとても興味深かったです。
さらに、その後日本に戻ってくるまで10年近く熱帯で暮らされているんですよ。
履き物はサンダルです。
そらー日本に帰ってきたとき、靴の生活なんて窮屈だったことでしょう。
日本では幅細あしの方が靴難民となり、もう草履で過ごすか…という流れがあるのですが、靴のサイズがあっても好きじゃないから和服(草履)というケースです。

P24 歩くということ

和服生活草履生活になって著者は、どこまでも歩いていきたい、と思うようになったそうです。
靴の時は歩くのがおっくうだったのに、草履だと歩くのが嬉しい。
ちっとも疲れないし歩きやすく、『徒歩20分』がなんでもなくなった。
そして、歩けるという素朴な喜びについて分析されています。
ここでは鼻緒、足の指で鼻緒を挟んでいることが歩きやすさのコツの一つだと推測されています。
ちなみに、草履で走ることもできる。

わたし、ここの部分を読んでいて、幅があった靴を履いても「あしがよくならない」のは、指をちゃんと使えていないからだなと思いました。
あわない靴を履いてきたから趾の使い方がわからないんです。
幅のあった靴を履いて、趾を動かす空間ができても、ただそこにはめているだけでは、いいあしにならない。
指がぐっと使えてこそ、足裏がしっかりしてくる。
その指を使う動作は、草履なら自然にできていたこと。

母(60代)に草履の幅のことを聞いてみたら、
「いまの草履は幅が広くなっている。昔はもっと細かった」
それだけでなく
「鼻緒も細かった」
というのです。

・踵の悩み(GOHAN店長の徒然日記)
http://blog.gohanshoes.shop-pro.jp/?eid=855931
「GOHAN本店では、踵を調整することも多い。
幸いGOHANには、細い踵の人にも対応できる木型がいくつかあるが、市場では、時代遅れな木型を使っているところが多いのではないだろうか。」
「しかし、衣・食・住をはじめ日本人の生活及びそれを取り巻く環境の変化と共に、日本人の足そのものも変化しつつあるようだ。日本人に限ったことではない。人間の体は、現在も進化を遂げている。そのことを見落としてはならない。」

骨格の変化については大木さんの勉強会でも聞いていますが、草履は幅広幅細、かかとのサイズなんて全然気にしない履き物でした。
逆に言えば、骨格の変化に対応できる履き物。
こんな時代を長く過ごしてきた日本人なので、そらー骨格の変化に対応した木型を作るのは、腰が重いはずです。

鼻緒が太くなったのは、趾で鼻緒を挟めなくなって食い込みが痛くなったからみたいです。
細い鼻緒をちゃんと趾で挟めるあしなら、どこにでも歩いて行けるでしょうね。
家の中だけでも、草履履こうかなあ。

趾についてはP85「足の指」についても書かれています。
そのあと「足袋」の話に続き、靴下との違いがおもしろい。
なお足袋には、ささ型(足首細い・甲低・幅狭) というサイズがあります。
現代的に細型と表記している会社も。

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P47 きものは苦しいのか

帯が苦しそうに見えるけれど、実際に自分の呼吸と体に合わせて巻いていくと、苦しくない。それどころか外からからだを支えているため、からだが固まらない。これを茶筒にたとえて書かれています。
そうそうわかる。
わたしも和服は結婚式とお正月くらいしか着ないのですが、暖かいのと腰がすごく楽なんです。
帯がしっかり支えてくれているから。
で、この支えがないとどうなるか。

肋骨の下、支えのない腹腔部分でからだがぐんにゃり折れ曲がるのです。
わたしだ、わたし。
肋骨のいちばん下のところ、横線が入っているんです。
これは小学生の頃からで、おなじ状態のクラスメイトが複数いました。
姿勢の悪さよりも体幹の弱さだと思います。

・細足kの目指せハイヒールウォーカーへの道(6)kのこんにゃく身体について考えてみた(そくぷろ)
http://sokuihakarou.seesaa.net/article/407774658.html
「体幹が弱いと内臓が下垂するというのは内臓を吊り上げる力がない話んだと思ってましたが、それだけでなくて内臓の居場所のスペースを作ってあげる話なのかって納得。内臓をいくら吊り上げてもスペースがなければ無理ですよね。

そして、鳩尾の下あたりに、折れ皺があったのは、このことが原因だったのか!と気がつきました。」

でですね、運動不足の大人ならともかく、なんで子供時代ですでにわたしはおなかに横線入っていたのかですよ。
それについてはつい先日UPされたこちらのブログに、ヒントがありました。

・コスチューム雑感(nadja's notes)
http://ameblo.jp/atelier-nadja/entry-11948718416.html
すごく大事なことが書かれています。

「日本製の既成服用工業ボディの多くが、日本人に多いとされる不良姿勢(頭部前方変位+巻き込み肩+円背+骨盤後傾)に寄せた仕様になっていることを知ったのは、比較的最近のこと(*註)。
靴における木型と同様、ボディが生身の骨格に合わなければ、辛いのは当たり前でした。」

「靴が立ち方や歩き方に大きく影響するように、服もまた姿勢や動作への影響は想像以上。」

洋服の影響。
洋服の影響ですよ!!
ますますもって、和服生活を送りたくなりませんか!!
それでもわたしは、あしくつのことを学ぶのが好き。
こんなにおもしろいことが続々と出てくるからです。


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