売り場は人によって作られる
その2の続きです。オリジナルパンプスのカラー展開は、そごう横浜店の靴売り場スタッフ全員の意見をまとめて決めるそうです。
製靴や木型については林さんなど上級シューフィッターの方がメインですが、それだと売り場に立つ側としては他のメーカーの靴と余り差がない。
しかし、お客さんと接しているスタッフの
『こういう色があれば』
というのが反映した靴なら、それはもうほんとにそごう横浜店靴売り場のオリジナル、自分たちが育て上げた靴なのです。
なるほど、これで不思議だった売り場の方の姿勢がなんとなく理解できました。
わたしが売り場を歩いていて真っ先に気がついたのは、販売されている方の腰が据わっていることです。
全然ふわふわしていない。
よくある靴売り場の光景は
「サイズはいくつですか?」
「痛くありませんか?」
「こちらでよろしいですか?」
といった、お客さんにまるっきり委ねているケースです。
笑顔を絶やさず百貨店的接客としては○なのですが、
どうかな、どうかなというお伺い姿勢なので、根本的に頼りない。
ところがこちらの売り場の方は、見た目の姿勢がいいという意味ではなく、どっしり腰が据わっています。
レジ打ち、在庫だし要員ではなく、売り場の「販売員」としてしっかり対峙されています。
百貨店なのに靴専門店の安定感と同じなのです。
(参考日記/モネ・テラモト)
なんでかなと思ったのですが、調整の技術と販売する靴への思い、自分たちが売り場を作っているという誇りの表れだと思いました。
右から左へ渡すような販売姿勢より、
『この方の足ならば、この靴だとここまでの対応ができる』
『または、あっちでもいけるかも』
というポテンシャルを理解した上で接客するのとは、全然違います。
そして売り上げという数字に反映されることが、ちゃんとそれぞれの自信につながっている。
すごいです。
オリジナルパンプスが出る以前の売り場を知らないのですが、オリジナルを作ることの効果ってこういうこともあるのだと驚きました。
いい売り場ですね。
こんな売り場でお買い物したら、ほんとに気持ちいいだろうなあ。
(実際、じゃんじゃん売れていましたよ)
たまたま知り合いの靴関係者も前後してこちらの売り場に立ち寄られたのですが、
「売り場が生き生きしていて驚いた」と言っていました。
この方は以前の売り場をご存じです。
左二足もオリジナルのランバンオンブルー。
いちばん右のシルバーもオリジナルのアンテプリマ。
履いたあとの雑な撮影ですみません。
やっぱりかかとが抜けない。
あいにく足囲のみっしり感がわたしは苦手でしたが、アンテプリマはカラーがめちゃくちゃ好みです。
自分でいうのもなんですがこの日の服とマッチしすぎて、ふらふらポチりたくなりました。
アンテプリマの靴は梅田でももちろん何度も見ていますが、一度も惹かれたことなかったのに!!
こういった新しい発見は、品出しを任せることができる醍醐味ですね。
すんごい楽しかったです。
次は既製靴のフィッティングです。その4へ