先日書いた「白の暴力」についての日記で、
http://nuinui358.dreamlog.jp/archives/39232770.html
前社にいたときのことを思い出していました。
その会社は、外線電話が1番号(実際には複数回線に割り振られる)しかなく、名刺の番号はみんな代表番号。
業務の拡大につれ部署が増えても、番号は一つ。
少人数のときはざっと社内を見渡して対応できますが、全く関係ない部署の人が外線電話の応対をし、内線電話で転送するのが日常。
お互い様だと思って、どこでもこういうことあると思います。
ところが転送しても、誰も取ってくれないことが多々あるのです。
はるばるその部署まで移動し、行動予定表を確認して、鳴りっぱなしの内線電話を自分で取って、先方に
「お待たせいたしました。申し訳ございません、
○○は外出しており、○時に戻り予定でございます」
と謝罪いたします。
そのデスクには、「○時に○さんから架電」と用件や折り返しの必要性を書いた電話メモを置きます。
当時から傑作だったのは、自部署の内線が鳴っても、自分宛の電話でなければ代理で取ることもしない男性が多いのです。
代理で取ってくれるのは、女性。
稀に、代理で取ってくれる男性がいると、女性の中で評価上々でした。
それぐらい、外線電話の応対って手間暇かかるし、自分の業務の手を止められるから、取るのを嫌がる人が多かったというわけです。
ある女性は外線電話について
「暴力的だ」
と称していました。
お上からのお達し、最優先事項として、全てのことを中断して対応しないといけないからです。
わたしは契約社員だったので、社内の部署や人、業務内容の把握にいいやと思ってじゃんじゃん外線を取っていたのですが、ある時男性上司から
「外線電話を取ると、暇だと思われるから取るな」
と言われました。
うわ〜い(笑)
外線電話対応は架けてくれた相手のためじゃなくて、プライドの指針なんだ〜。
ていうか、実際暇だったんだけど。仕事なかったじゃん。
わたしは電話取り、楽しかった。
だって不快な思いをさせられたことがなかったから。
皆さんごくごくまともないい方ばかりでした。
ダイヤルインにして欲しいとどれだけ女性が会議で訴えても、役職者である男性から却下。
作業効率は悪いし、相手を待たせていることより、経費がかかるという建前の元に却下。(その後導入された)
電話の思い出は、まだまだあります。
ある時社長が、
「○○に電話したら、“ありがとうございます、○○でございます”と言われて
とても気持ちが良かったから、今日から当社もそうするように」
と言い出しました。
社長があげた○○社は一般人からの外線がかかる営業会社ですが、こちらは一般人からの架電はなく、取引先からの業務架電のみです。
小学生のとき、クラスの男子がニヤニヤして突然
「ごめんな!」
といって、え?? と思っていたらぼこっと殴ってきて、
「先に謝っただけ〜(ニヤニヤダッシュ)」
っていうことがあったのですが、先にありがとうございますっていうのも、なんか同じ薄っぺらさを感じたのです。
みんな『ばかばかしい』『アホらしい』『自分が取れば』と影でぐちぐちいいながらやっていましたけど、契約社員で構成された会社だと、こうなるのは当たり前です。
『誰か知らんけど、とりあえず言っとけ』的な。
そんな風に取っていたから、相手にも絶対伝わっただろうなー。
これ「電話の枕コトバ」というそうです。
・「電話の枕コトバ」仕事が増えたきっかけはささいなことから
http://www.ex-ma.com/blog/archives/417
「“ありがとう”が“ありがとう”になっていない。
記号になってしまっているってことです。
これって、お客さまに失礼だな。」
ほんとにそうですね。
ベネッセの個人情報漏洩でクレーム対応の電話を外注したことに非難が集まっていますが、そんなの普通でしょう。
ある案件のトラブル対応で急遽クレーム電話対応要員として社員がかり出されたことがあり、要員対象は主に役職者。
残業代いらないからね。
わたしも当時の上司に半笑いで声かけられましたが、
「正社員でも役職者でもないのに、嫌です」
って半笑い返し。
「業務命令だから断れないんだけど…」
と言われながらも、正式な業務命令は出されず。
駆り出された役職者には、
「○日からは派遣会社が対応するからそれまでの間」
と言われていました。
いまどき、サポートやクレーム対応なんて日常的な派遣業務です。
大きなトラブルになればなるほど、そうでしょう。
わたしは社内のコンプライアンス(個人情報保護など)のとりまとめ委員をやっていて、監査もやっていました。
友人に
「コンプライアンスって会社の大事なきめごとでしょう。
そんなの正社員の仕事じゃないの? なんで契約社員がやってるの」
っていわれました。
当時のわたしはむしろ、
『契約社員にこんなことさせちゃうなんて、おもしろい会社だな』
と思っていたから半笑い。
それに、正社員はほとんどいなくて、出向社員と契約社員ばかりという構成だったのもあります。
今回のベネッセの件でこのことを思い出しました。
あれは流出して然るべきな事件です。
なぜなら、コンプライアンスは顧客(ユーザー)のためではなく、会社のためだからです。
顧客のためを思うなら、派遣社員や契約社員に任せないでしょう。
愛社精神が育つ土壌がない。
もちろん顧客ためにと思って働いている非正規雇用者が大多数でしょうけど、期限が来たらおさらばです。
漏洩させた人を擁護する意図はありません。
わたしは契約社員だったけどコンプライアンスに関われて、今こうして日記を書くことができるし、おもしろい体験だったなと思います。
コンプライアンスの資格取得・運用のためだけに雇用される非正規社員もいるんだから、会社の都合のいいときだけ、性善説は採用できないんです。
ISOもPマークもそれぞれ日常的に正しく運用されているか、毎月会議があり、年に一度外部監査と内部監査があります。
外部監査のために内部監査をし、毎月会議をしているだけで、顧客ためじゃないんですよ。
ISOもPマークも、当時行政機関が
「このマーク取得していないと、入札できないよ!」
ってしたからこぞって取得しただけ。
結局ISOなんて、その後
「世間に定着したから(本音:継続にお金かかるから)」
と行政が真っ先にお手上げになった。
わたしは業務で関わっていたとき、いくらシステムでセキュリティを上げても、関わる人によって情報は漏洩するなと普通に思いましたし、Pマークの監査員やコンサルも、そういうものだという認識でいました。
だから、今回ベネッセは情報を漏洩したことで一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)より調査要請をされていますが、 これに然るべき書面で返答し、今後の対策を立案・実行すれば、いったん取り消された(まだ消されてないけど)Pマークも再認定されます。
しかし、以前大日本印刷(Pマークコード10190940(04))で漏洩があったときは取り消されずに「改善要請」のみ。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20070329/266898/
登録番号のうしろ(かっこ数字)は更新回数です。
プライバシーマーク付与の有効期間は2年間。
以降2年ごとに更新審査を受け合格した回数を表しています。
http://privacymark.jp/privacy_mark/guidance/regulation.html
この時約864万件も漏洩していて、付与取り消しはなし。
漏洩しても取り消されないし、再取得もできるからPマークもやっぱり顧客のためじゃないですね。
もっと漏洩規模が大きくまだ全容が把握し切れていないベネッセとジャストシステムの処分をどうするのかで、運用が全く形骸化しているPマーク、そしてJIPDECの本意が見えてくるかと思うと楽しみです。
「漏洩はなくならない」
自衛するしかないです。
http://
前社にいたときのことを思い出していました。
その会社は、外線電話が1番号(実際には複数回線に割り振られる)しかなく、名刺の番号はみんな代表番号。
業務の拡大につれ部署が増えても、番号は一つ。
少人数のときはざっと社内を見渡して対応できますが、全く関係ない部署の人が外線電話の応対をし、内線電話で転送するのが日常。
お互い様だと思って、どこでもこういうことあると思います。
ところが転送しても、誰も取ってくれないことが多々あるのです。
はるばるその部署まで移動し、行動予定表を確認して、鳴りっぱなしの内線電話を自分で取って、先方に
「お待たせいたしました。申し訳ございません、
○○は外出しており、○時に戻り予定でございます」
と謝罪いたします。
そのデスクには、「○時に○さんから架電」と用件や折り返しの必要性を書いた電話メモを置きます。
当時から傑作だったのは、自部署の内線が鳴っても、自分宛の電話でなければ代理で取ることもしない男性が多いのです。
代理で取ってくれるのは、女性。
稀に、代理で取ってくれる男性がいると、女性の中で評価上々でした。
それぐらい、外線電話の応対って手間暇かかるし、自分の業務の手を止められるから、取るのを嫌がる人が多かったというわけです。
ある女性は外線電話について
「暴力的だ」
と称していました。
お上からのお達し、最優先事項として、全てのことを中断して対応しないといけないからです。
わたしは契約社員だったので、社内の部署や人、業務内容の把握にいいやと思ってじゃんじゃん外線を取っていたのですが、ある時男性上司から
「外線電話を取ると、暇だと思われるから取るな」
と言われました。
うわ〜い(笑)
外線電話対応は架けてくれた相手のためじゃなくて、プライドの指針なんだ〜。
ていうか、実際暇だったんだけど。仕事なかったじゃん。
わたしは電話取り、楽しかった。
だって不快な思いをさせられたことがなかったから。
皆さんごくごくまともないい方ばかりでした。
ダイヤルインにして欲しいとどれだけ女性が会議で訴えても、役職者である男性から却下。
作業効率は悪いし、相手を待たせていることより、経費がかかるという建前の元に却下。(その後導入された)
電話の思い出は、まだまだあります。
ある時社長が、
「○○に電話したら、“ありがとうございます、○○でございます”と言われて
とても気持ちが良かったから、今日から当社もそうするように」
と言い出しました。
社長があげた○○社は一般人からの外線がかかる営業会社ですが、こちらは一般人からの架電はなく、取引先からの業務架電のみです。
小学生のとき、クラスの男子がニヤニヤして突然
「ごめんな!」
といって、え?? と思っていたらぼこっと殴ってきて、
「先に謝っただけ〜(ニヤニヤダッシュ)」
っていうことがあったのですが、先にありがとうございますっていうのも、なんか同じ薄っぺらさを感じたのです。
みんな『ばかばかしい』『アホらしい』『自分が取れば』と影でぐちぐちいいながらやっていましたけど、契約社員で構成された会社だと、こうなるのは当たり前です。
『誰か知らんけど、とりあえず言っとけ』的な。
そんな風に取っていたから、相手にも絶対伝わっただろうなー。
これ「電話の枕コトバ」というそうです。
・「電話の枕コトバ」仕事が増えたきっかけはささいなことから
http://
「“ありがとう”が“ありがとう”になっていない。
記号になってしまっているってことです。
これって、お客さまに失礼だな。」
ほんとにそうですね。
ベネッセの個人情報漏洩でクレーム対応の電話を外注したことに非難が集まっていますが、そんなの普通でしょう。
ある案件のトラブル対応で急遽クレーム電話対応要員として社員がかり出されたことがあり、要員対象は主に役職者。
残業代いらないからね。
わたしも当時の上司に半笑いで声かけられましたが、
「正社員でも役職者でもないのに、嫌です」
って半笑い返し。
「業務命令だから断れないんだけど…」
と言われながらも、正式な業務命令は出されず。
駆り出された役職者には、
「○日からは派遣会社が対応するからそれまでの間」
と言われていました。
いまどき、サポートやクレーム対応なんて日常的な派遣業務です。
大きなトラブルになればなるほど、そうでしょう。
わたしは社内のコンプライアンス(個人情報保護など)のとりまとめ委員をやっていて、監査もやっていました。
友人に
「コンプライアンスって会社の大事なきめごとでしょう。
そんなの正社員の仕事じゃないの? なんで契約社員がやってるの」
っていわれました。
当時のわたしはむしろ、
『契約社員にこんなことさせちゃうなんて、おもしろい会社だな』
と思っていたから半笑い。
それに、正社員はほとんどいなくて、出向社員と契約社員ばかりという構成だったのもあります。
今回のベネッセの件でこのことを思い出しました。
あれは流出して然るべきな事件です。
なぜなら、コンプライアンスは顧客(ユーザー)のためではなく、会社のためだからです。
顧客のためを思うなら、派遣社員や契約社員に任せないでしょう。
愛社精神が育つ土壌がない。
もちろん顧客ためにと思って働いている非正規雇用者が大多数でしょうけど、期限が来たらおさらばです。
漏洩させた人を擁護する意図はありません。
わたしは契約社員だったけどコンプライアンスに関われて、今こうして日記を書くことができるし、おもしろい体験だったなと思います。
コンプライアンスの資格取得・運用のためだけに雇用される非正規社員もいるんだから、会社の都合のいいときだけ、性善説は採用できないんです。
ISOもPマークもそれぞれ日常的に正しく運用されているか、毎月会議があり、年に一度外部監査と内部監査があります。
外部監査のために内部監査をし、毎月会議をしているだけで、顧客ためじゃないんですよ。
ISOもPマークも、当時行政機関が
「このマーク取得していないと、入札できないよ!」
ってしたからこぞって取得しただけ。
結局ISOなんて、その後
「世間に定着したから(本音:継続にお金かかるから)」
と行政が真っ先にお手上げになった。
わたしは業務で関わっていたとき、いくらシステムでセキュリティを上げても、関わる人によって情報は漏洩するなと普通に思いましたし、Pマークの監査員やコンサルも、そういうものだという認識でいました。
だから、今回ベネッセは情報を漏洩したことで一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)より調査要請をされていますが、 これに然るべき書面で返答し、今後の対策を立案・実行すれば、いったん取り消された(まだ消されてないけど)Pマークも再認定されます。
しかし、以前大日本印刷(Pマークコード10190940(04))で漏洩があったときは取り消されずに「改善要請」のみ。
http://
登録番号のうしろ(かっこ数字)は更新回数です。
プライバシーマーク付与の有効期間は2年間。
以降2年ごとに更新審査を受け合格した回数を表しています。
http://
この時約864万件も漏洩していて、付与取り消しはなし。
漏洩しても取り消されないし、再取得もできるからPマークもやっぱり顧客のためじゃないですね。
もっと漏洩規模が大きくまだ全容が把握し切れていないベネッセとジャストシステムの処分をどうするのかで、運用が全く形骸化しているPマーク、そしてJIPDECの本意が見えてくるかと思うと楽しみです。
「漏洩はなくならない」
自衛するしかないです。