たしにとってナイスタイミングの書籍です。


11名の弁護士によって執筆されている。
こういった法曹系の書籍は素人にとっつきにくい印象が強いですが、Q&A方式でまず回答、それから解説という構成でわかりやすいです。
惜しいのは表紙のとっつきにくさ。

質問も表紙に書かれている三つ↓
インターネットショッピングで返品はできるの?
娘にTwitterを利用させても大丈夫?
従業員採用活動時に個人情報を収集するときの注意点は?

よりも、
出会い系サイトに18歳未満の少女を対象として「33歳男。18↓JK希望。円光。本なし諭吉1人(以下略)」書き込みしたら、犯罪になりますか?(P220)
18歳未満の少女の裸を撮影した画像をパソコンに保存しておくと犯罪になりますか? 脅したのではなく同意を得ていますが(以下略)(P224)
という児童買春やポルノについてばーんと出した方が、もっと手に取られたんじゃないでしょうか。
弁護士ドットコムにて
https://www.bengo4.com/
”児童ポルノ”で検索したら、同じような質問がずらずら出てきて(4,259件)、回答する弁護士の方が気の毒になってきました。

掲載されている質問は弁護士会に寄せられたもの、読者が疑問に思いそうな事例や項目を想定して書かれています。
上記2つなんてもう真っ黒けっけのギルティ!!ギルティ!! 
どの面下げて質問したのか横っ面ひっぱたきたくなるけれど、処罰されるケースとその根拠はいざ説明したくてもなかなかできない。

ネット検索していい加減な知識を鵜呑みにするより、ちゃんとした書籍を読んだ方が良いです。
判例の掲載と、法整備の改正についても触れているし。
巻末には事項索引も載っているので、巻末から見ていくとピンポイントにたどり着けます。
未成年のネットトラブルやネットいじめについて言及しているのが、とてもいい。

●ほんとのことを書いても

「発信者情報開示請求標準書式の記入例」(P68)
あ〜これが噂に聞く例の書類かと、しみじみ熟読。
なぜなら、わたしのブログに先日LINEから(ライブドアブログの親分はLINEなのよ)、弁護士から通販のユーコーネタについて名誉毀損だと削除申請来てるで、期日までに削除せいよとメールが来たからです。
削除に応じなかった場合、弁護士が管理会社であるLINEに提出するのはこの書式でしょう。
記入例はまさに「侵害された権利:名誉毀損」なのでわかりやすい。

同時期、通販のユーコーについて書いていた複数のブログが削除申請を受けて、当該記事が検索結果からどんどん非表示になっていきました。
わたしは買い物をしていなかったので実被害を被ったわけではないから申請に応じましたが、どんな内容のメールが来たのかはこちらをご覧下さい。

同じライブドアブログ内でも削除せず反対弁証を書かれています。
元ネタも削除されず残っていますね。

書籍から関連ありそうな項目を抜粋。
「グルメサイトの口コミ欄にネガティブな感想を厳しい目に書いたところ、業務妨害罪の疑いがあるとして警察から事情聴取を求められた」(P215)
ここでは長期間にわたり、何十回も書き込みをしていれば「業務が妨害」される危険性が生じたと解する余地が生まれるとあり、ああだからいまごろになって各ブログに名誉毀損罪を出してきたんだな。
あのネタはUPした2014年当初はアクセスがありましたが、2018年の現在Googleの検索結果だと10ページ目に出てくる程度。検索ワードによりけりですが。

わたしのブログはHTTPサイトだしアクセス数も大してないのに業務妨害をどうやって判断するのかと思っていたので、掲載期間かと腑に落ちました。
いざ裁判沙汰になってもあっち側に分がある。

では、表現の自由は?
「ブログの投稿者が削除に応じない場合」(P64)
投稿者が削除に応じなかった場合、運営会社に対し損害賠償請求ができるか。
投稿者の表現の自由にも配慮しなければならないことから制限が加えられていますが、請求は認められています。
……表現の自由、ないじゃん。
ちなみにプロバイダ(ISP)は、
ユーザーに対してインターネットへの自由なアクセスを提供しなければならない。
https://news.yahoo.co.jp/feature/1039
(「漫画村」ブロッキング――誰が、どんな経緯で動いたのか)より引用。

「SLAPP」訴訟を匂わせ、検索結果を自社の都合の良い内容で埋めることが実際に起きています。
そりゃ、有料noteに移行するユーザーが多くなるのも分かる。
「情報は無料で手に入らない」
インターネットは開かれた空間ではなくなったね。

ツイッターは新聞ユーザーと年齢層が違うせいか数は多くないけれど、なかなかの焼け野原。【こちら
 
そしてこの件で一番アクセスを集めていたフミくん(知り合いじゃないです)のブログですが、名誉毀損罪の書類が届き、とうとう該当記事を削除されました。
経緯は残っています。
http://miyamasansou.cocolog-nifty.com/blog/2018/07/post-e10d.html
http://miyamasansou.cocolog-nifty.com/blog/2018/05/post-607f.html

フミくんがどんなことを書かれていたのかはインターネットアーカイブで読めるんですけど、検索ではもう行き着けない。 【その1】【その2
このように、削除された記事を読む方法はありますが(参照記事)、検索に引っかからない=存在しないに等しいのがインターネットの現状でもあります。
今回は申請に応じたけれど、経緯を残しておきたかったのだ。