書館で書に関するコーナーをブラブラ見ていたときに、こんな本があったんだと初めて知りました。

漢検事件は2009年に発覚した、当時の漢検理事が団体の収益を私的に流用していた事件です。
学校教育の現場でも導入されていた漢検は、この事件以降一気に受験者が減った。
でも地味に活動は拡大し続けて公益財団法人 日本漢字能力検定協会 となり、年末恒例清水寺での「今年の漢字」も当たり前のように報道されるようになっています。

あの事件て結局なんやったんかなという気持ちで借りてみたのですが、久々に全く気の合わない文章の本でした。
司馬遼太郎の悲劇再びです。
冒頭の「梗概・漢検事件の不思議な構造-時間のない読者のために」がすでに読みにくくて、時間がないのに読解するのにすごく時間を割くという。
とにかく無駄な描写が多く、言いたいことはなんやねんとその度に詰まってしまいます。

その例がP24「今年の漢字」仕掛け人を襲ったスキャンダル
「左右に7階前後のオフィスビルが行儀良く並んでいる。ちなみに烏丸通の街路樹はいずれも高さ7~8mの、ユリノキとスズカケノキの混在で、漢検本部の近くにはスズカケが比較的多い」

スズカケがなんだって??
あとにスズカケにちなんだなにかが出てくるのかと思わせぶりな描写を入れてて、全くなんの関係もありません。
変な寄り道描写が著者の思考そのまま垂れ流しで、そんなことより事件のことをもっと淡々と追って下さい。

伝わってくるのは京都の文化人の跳梁跋扈ぷりと、茶(千家)と華(池坊)の仲の悪さ、特に池坊のおばちゃんはヌード写真をわたしでも覚えているぐらいですが、これほどの欲深ババアだとは。
日馬富士暴行問題でしれっと登場したとき、「あーおばちゃんが言うことの反対が真実やな」と思いましたよ。
前原誠司の名前もしょっちゅう出てきます。
いつの世でも『出る杭は打たれる』ですが、京都の場合「太らせてからおいしくいただく(乗っ取る)」ので、よりエグい。

漢検を起ち上げた前理事長、大久保氏の名前はWikiの漢検事件に名前が全く記載されていないんです。
大久保親子の新しめの報道は、2014年のこれかな。

■追放された大久保親子が民事勝訴した「漢検内紛劇」の今後
https://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/249150/

事件のあらましはWikiよりも2013年の東スポ記事の方がわかりやすいです。
過去の事件ではなく、いまに続いている。
■09年に生まれ変わったはずが…漢検ドロドロ内紛劇
https://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/149211/

漢検事件発生時、弥栄中学校の跡地を漢字ミュージアムにするというのは報道でも流れていました。
そのミュージアムは2016年にちゃっかりオープンしています。
オープンのニュースを見たとき、『漢検事件の曰く付きの跡地じゃんか』と思いました。

別に名書が収められているわけじゃないんですよ、あそこ。
漢字文化に触れるという名目の、もともと漢検協会にあった「今年の漢字」を展示するのがメインじゃないかという、到底博物館と言えるレベルではありません。

漢検 漢字博物館・図書館 (漢字ミュージアム)
http://www.kanjimuseum.kyoto/kikakutenji/

この企画展の浅さからもわかるでしょう。
こんなところに大人800円も払うぐらいなら、奈良の大和文華館で12/24までやってる「特別企画展 書の美術-経典・古筆切・手紙-」
http://www.kintetsu-g-hd.co.jp/culture/yamato/exhibition/syonobizyutu.html#top
の方がよほど素晴らしい内容ですし、入館料 一般 620円で花園天皇宸翰断簡まで見れちゃうわよ。

漢検事件については、大久保氏は京都以外の場所でショーバイ始めていたら起きなかった事件かもと思いました。 違う形で悪事はつまびらかにされ、組織の乗っ取りまではなかったのでは。
大阪だって有名神社にやり手ばばあがいますが、神社庁と手を切ってるし。
本の感想としては、京都の闇深さ、欲深さには敵いまへん。
自分が一から構築した文化でもあるまいし、エスタブリッシュメントの負の面ばかりでお腹いっぱいになりました。
ノブレス・オブリージュの意味も知らないのでしょう。
一時期受験者数が凋落した漢検ですが、いまは受験対策でまたステイタス上げています。