べのハルカス美術館で開催中の「北斎展」、友達がチケットをくれたので行ってきたよー、ありがとう!

平日昼間でも人が多いというので諦めていたんですが、せっかくチケットが手に入ったからには作戦を立てました。
北斎
http://hokusai2017.com/

公式サイトにもあるとおり、火曜日から金曜日は午後8時まで開館(入館は7時半まで)のため、夕方以降の方がまだましだと複数筋から情報が入ってきました。
こちらはツイッター「北斎展」でリアルタイム検索。

ツイッターで確認すると、普通に夕方からも行列が出来ています。
あくまで“まだまし”ってことか!? だとしたら日中はどんだけ混み合うんだろう。

現地でわかったんですが、まずチケット購入の行列があるんです。
公式サイトにも書いてあるじゃん、先に買ってから来てくれって。
こんなところで体力と時間を消耗するのもったいない。

【計画】
・鑑賞は最長2時間と見積もり、午後6時過ぎ会場着
・荷物はロッカーに突っ込んで入場
・入り口は混んでるだろうから流し見にして、7時半の入館終了時に戻る

先に結果を書きますが、大成功でした。
しかし物販は一気に人が圧縮されるため、会場内よりも更なる混雑と行列です。
もし夜に行って図録が欲しいなら、まず物販コーナーで買い物。戦利品をロッカーに預けてから入るといいです。

●混雑を乗り越えて


初めてのあべのハルカス美術館、ロッカーにいくとコインが扉の内側タイプで、うわーこれは初めてです。さすが新しい施設だわ。
旅行者も多く大きなリュックは直接クロークで預かってもらえるので、できるだけ身軽になって会場入りした方がいい。それと混雑で暑い!! トレンチコートもロッカーに預けて正解でした。

お楽しみ音声ガイド(550円)は俳優三宅弘城さんがナビゲーター。NHKの「眩~北斎の娘~」をもっと真面目に観ておいたらよかった……
音声ガイドの貸し出しも、微妙に手際がよろしくなくてまたもや行列。

使い方の説明は要りますか?
あ、大丈夫ですわかります(ウソ、初めての機械でしたが、まあどのタイプも使い方似たようなもんだ)

と、さっさと入場しました。
この音声ガイド、両耳のヘッドフォンタイプで当たりです。片耳タイプは周囲の音が聞えるからイヤなんですよ。やったねv

音声ガイドのナビや解説ってアタリハズレが大きいけれど、今回のはナビでドラマチックに、解説は展示の内容よりもより詳しくて、すごくよかった。機会が当たりだと内容も当たりなんかな。
目で読むより音で聞く方が内容が入るのと情報を記憶できるし、どこも工夫を凝らしていて楽しい。

それにしても入ってすぐの混雑ぶりには閉口しました。人混みで暑いってなかなかないで。
みなさん手に持った出品目録でパタパタ扇いじゃってるし、鼻がいいわたしは背広のナフタリン臭とオッサンの臭さに『近い近いー!!』と息を詰めながら、人々の肩越しに展示を見る。
背があると壁面展示はこれでいいのですが、什器に平置きのものはさすがに無理です。あとで帰ってくるわね……

なお出品目録、デスクに在庫スッカラカン。
戻ったときにようやくゲットできました。ちゃんと補充してー!! 
もしくは、入場時にチケットもぎるだけでなく配布してよ。普通はそこでくれるのに。
もぎりもひとりがせっせとやってて、隣の人はなんでぼさっとしてるのだ。列ってるんだから2人でやればいいじゃない。
イベント屋なので、こういう運営の細かいところがすごく気になる。

●神を目指す


肝心の北斎の絵は、メインテーマは70歳~90歳の作品ですが30代からの作品も展示されています。
入ってすぐの展示がそう。
だからいったん最後の90歳の展示を見てから戻ると、その違いがよくわかるんです。

やっぱり若い時の線や描写はすごく力強い。老年期はその分、力みが抜けて幽玄でもあり、でもまだ本人の執念を感じられる。
全然味が違いました。

自然物の絵だと、滝のシリーズ「諸国滝廻り」が好き。
李白と滝の絵は70代のものと90歳の作品で見比べると、なおおもしろいです。
あと、お花の連作は色がとても綺麗。物販コーナーのレプリカで、いいなと思ったのはお花シリーズ。

絵の描き方の解説を残していたり、赤で描いた下絵は驚きでした。
口伝で教えるだけでなく、広くみんなで共有できる工夫をしていたその精神がいい。
こんだけ与える人でもあるのに、孫が浪費家でずーっとお金に苦労するというのが切ない……

自画像を残す作家が少ない中、北斎は何点か残しています。
歌川国芳の「日本奇人伝」北斎・馬琴他という絵を見ていると、北斎や馬琴に混じって、三條小鍛冶がいました。
ええっ!? 鍛刀してるよ!!
奈良でお店を見たばかり(このときです)なので、めっちゃ反応してしまい、なぜこのメンツのなかに混じっているのがすごい気になる。調べてみたけれどわからない。

そして有名な百物語が、計画通りに発行されず5作で終わっていたとか知らなかったです。
他も見たかったなあ。

長野に行ったときに小布施に寄れたら見たいと思っていた上町祭屋台天井絵「濤図」
http://hokusai2017.com/highlight.html
すごくよかったです。でっかいー! 
この大作が80歳の時の作品だなんて、どんだけ創作に貪欲なのか目が眩みました。

肉筆画のグラデーションは、日本の面相筆の素晴らしさでもある。
西洋の絵筆は「ブラシ」であり、面相筆とは違うんだよ。

それにしても老眼も入ってメガネもなかったであろう時代に、どうやってこれほどの細かい描写をしていたのか。
娘のお栄(応為)と北斎の様子を弟子が描いた絵がありまして、北斎はこたつに潜ってうつ伏せで絵を描いていました。

腰が痛くないのか!?
痛くても創作したいという姿勢だろうか。
9月から4月までずーっとこたつに入ったまま創作し、誰が来てもこたつから出なかったそうですよ。

冨嶽三十六景山下白雨、やましたはくうじゃないで、さんかはくう。
赤富士といえば富嶽三十六景 凱風快晴ですが、思い入れがあるのは山下白雨なんです。
中学の美術の時間に名画を模写する課題があって、わたしは山下白雨でした。
凱風快晴ではなく山下白雨しか載っていなかったので、のちに凱風快晴を知ったとき、あれー知ってる赤富士とちょっと違うと思いましたね。

語りは尽きませんがこの辺で。
目録を見ると所蔵先の多くは大英博物館ですが、他に行ったことのあるメトロポリタン美術館、ヴィクトリア&アルバート美術館からも。
三つとも行ったことがあるのに北斎の作品を全く見ていないんですよ。
絵よりも立体物の方が好きなので、現地ではそっちにフィーバーしちゃいがち。
いまになって日本でまとめてみることができて、嬉しい。

同じ2日の日中に行った方のブログ。
http://blog.goo.ne.jp/pero-nobu/e/5cbdf061ebc0c1afb43ca402515a082d
入り口の混雑具合が十重二十重で吐きそう。6時過ぎだとこんなことないよ!
11/19(日)まで。