イトルが全てを語っています。
先日もコンビニのバイトを募集しても日本人は応募してこず、外国人ばかりだというニュースがありました。
http://www.mag2.com/p/news/252720

有効求人倍率が上がっているのに、賃金が上がっているとか生活が楽になったという声はちっとも聞かない。
景気が良くなっているというのなら、その収益は賃金に反映されずいったいどこに行っているのか。
こういう問題はTVはもちろんネットにも付け焼き刃の断片情報しかないので、複数人による研究を編纂した著作を読むことにしました。


編集した玄田氏の要約記事。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51726

「賃金の上方硬直性」と第4章の「いまも続いている就職氷河期の影響」がインパクトありすぎて、そこばっかり繰り返して読んでしまいました。
賃金の上方硬直性というのは上記要約記事内にも書かれてあり、
「人手不足だからということで賃金を大幅に上げたとする。その後に思いがけず不況になると、賃金を下げないと人件費がかさみ、経営が圧迫される。だが賃金を下げてしまうと労働者はやる気をなくすため、下げるにも下げられない事態に陥ってしまう。 だから、賃金が下げられない硬直性があると、今が人手不足でも将来また不況になることをおそれる企業ほど、おいそれとは賃金を上げられないのだ。」
賃金には感情が絡むため、下げることももちろんですが上げることもできないという。
“いつか景気が悪くなるかも知れない”
その時に賃下げをしたら抵抗が大きいから、じゃあ上げないでおこう、なんですよ。
ボーナスが減ることにはあまり反発しないから、景気感は月給(ベア)ではなくボーナスで調整している。
景気の悪いときに賃下げをした会社は、景気が回復したときに上げることができています。しかし多くの会社は前者だったため、賃金が上がらないという統計が出てしまう。

そして高齢者問題の方がクローズアップされていますが、もっと大きな問題かつ経済にダメージも与えているのはロスジェネ世代。
『人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか』
ロスジェネ年代の給与格差グラフです。
わたし、著作の中でこれが一番驚いたかも知れない。
高卒だろうと大卒だろうとこの年代だけぼこっと給与が低いんですよ。
若年層にも抜かれている。

なんとなく、ロスジェネ年代でも正規雇用なら給与格差ないと思っていたのに、なんだこりゃ。
なんでここだけ給与が上がらないのかについては本を読むとして、つくづく目先の応急処置が長い目で見ると自分たちの首を絞めていることが歯がゆい。
その時はよくても結局行き詰まっちゃうんだよな…

画像の右端に計算式が映っています。
他の章にも一ページまるまるこのような計算式が掲載されていて、データを活かすってこういうことができるんですね。
研究って大事なんだな。
その分析結果をすぐに世に反映できないのがもったいない。
『人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか』
35~44歳、一番働き盛りのゾーンかつ、労働人口が多いゾーンでもあるのに、年下の年代よりも賃金が低く設定されているゾーン。
ボリュームゾーンの給与が低いため、日本全体の賃金も上がらない。

安倍政権になって求人倍率が上がったとか景気が良くなったと言われていますが、違いますよ、単純に労働人口ががくっと減ったから、売り手市場になったと解釈した方が正しいです。
20代の新卒よりも30~40代を採用した方がいいといわれているのに、賃金が高くつくから採用しないとまことしやかに言われていましたが、実際にはこの年代の給与は低いのです。
『人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか』
失われた労働力。 

複数人でひとつのテーマをいろんな角度から分析している書籍なので、章末にはきちんと参照にした文献のリストがずらっと掲載されています。
WEBにはこのように参照元がどこなのか明確にした記事がすごく少ない。だから、先人は本を読めというのです。 

特におもしろかった章
第3章 規制を緩和しても賃金は上がらない--バス運転手の事例から【ポイント/規制、制度】
第4章 いまも続いている就職氷河期の影響 【ポイント/年齢、正規、能開】
第5章 給与の下方硬直性がもたらす上方硬直性 【ポイント/行動】
第9章 家系調査等から探る賃金低迷の理由--企業負担の増大 【ポイント/年齢、正規、制度】
第11章 賃金が上がらないのは複合的な要因による 【ポイント/正規、需給、年齢】
第15章 社会学から考える非正規雇用の低賃金とその変容 【ポイント/正規】

単一の原因だけじゃないので、こうすれば解決するという単純なはなしではなかったです。
ですが、それはつまり政治家のいう言葉がいかに欺瞞に満ちているかという裏返しでもあるなと思いました。目先のニンジンをぶら下げた発言の多いこと。
いまを知ることは政治を知ることに繋がります。
膨大なデータの分析をまとめた著作、読むことができてよかったです。
わたしの勝手な想像ですが、企業の収益は山師のような投資と夜の街に消えていると思います、わりと本気で。

ついでに次回は、バブル、ロスジェネ、ミレニアル世代のファッションにおける世代観など。


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