売から一ヶ月経ったのでポストします。

タイトル通り立ち読みで購入していません。
わたしは図書館の本や立ち読みでも普通に感想をUPしています。

東京・新宿 『靴は売らない靴屋 シューフィット神戸屋』の西村泰紀(タイキ)さんの著作です。
診断を受けていないのでお目に掛かっていませんよ。

気になったのは、ウィズをワイズと表記していること。 
足囲の計測について、接地計測と非荷重計測での差異が1.2cm以上だと開張足の疑いがあると書いていたことです。

外反母趾は外反母趾角のグレードが数値化されています。内反小趾も同様。
理学療法士の方のブログより。
■外反母趾の特徴③
http://rehabilioutput.blog.fc2.com/blog-entry-4.html
外反母趾になる前に開張足になるため、記述がありました。
「正常では25°程度である第1第5中足骨角(M1M5角)が30°以上になった開張足」
探しきれなかったのですが、医療従事者向けにガイドラインがあります。
■今知っておきたい単純X線撮影技術 PDFには
http://www.eisai.jp/medical/region/radiology/rt/pdf/049/02.pdf
図11 外反母趾の方はM1M5角が35度になっている。 正常な方は25度です。

こちらの男性は
http://blog.goo.ne.jp/nadefu/e/10da35d092a238d971a9d4ac17961a31
「中指の付け根あたりが違和感がある。(痛みはない)」 
と医師に伝えてレントゲン撮影したところ、M1M5角が28度で開張足気味であるという診断です。

西村さんはあえて解剖学的な解説は載せなかったのでしょう。
1ウィズは6mmなので、1.2cmは2ウィズ。
2ウィズ以内は許容範囲というのは職人の感覚的なものっぽく感じます。
数値の明文化が吉と出るか凶と出るか、確かにこれまでにない本だと思いました。 おそらくより情報がグレードアップした続刊が出ると思います。

この本は靴メーカーと売り場に立つ方こそ読んだ方がいいと思います。
パンプスを探して売り場に来るひとはこのような知識を仕入れてくるということ。それがどういうことなのか。わかっていたらいい加減な接客が出来なくなります。

「メーカーが作るものだからどうしようもない」というのは、ただの責任転嫁です。

靴が売れなくなったのは靴への信頼が落ちたというよりも、売り場に立っている人の信頼が落ちたからでもあります。
メーカーは作れば終わりじゃありません。売り場との連携は必要ないと思っていたら、靴にその意識は宿ります。
ユーザーをちゃんと見たものを作れていたら、スニーカーに市場を喰われないでしょう。
痛い靴は誰でも履きたくないですから。

診断は仕事じゃない


この本を読んで知識を仕入れた方、これまでシューフィッターの方にフィッティングしてもらったけれど、自分の足について言及がなくて物足りなかったという声を聞きます。最後にそのような方向けに一言。
フィッターは診断するのが仕事ではありません。
外反母趾も開張足も医学用語で、診断はレントゲンでの画像診断です。
自分の足についてそういう診断が欲しい方は、整形外科にいくことです。

シューフィッター資格を持っている方は診断してはいけないのです。
それは知らないからではなく医療従事者ではないからです。
わたしが内反小趾だと知ったのは、フットケアサロンででした。
医療従事者でない方のほうが、さらっとこういうことを口にされます。
本の情報量に照らし合わせるのはナンセンスで、それこそ本にも書かれている「思い込み」が弊害になります。

足の計測もお店や売り場によって考えがあり、接地計測、非荷重計測、立位座位それぞれです。
その計測方法で何人にも靴を合わせてきた経験則というものが、加味されています。
だから、売り場での計測が「本の通りのやり方じゃない」→「見立てが甘い」のではないです。

本と比べるとシューフィッターの方とのやりとりは寡黙に感じるかも知れませんが、売り場で言われなかったからといって、自分の足の見立てが出来ていないと判断しないことです。
そして「さあこの足にどう合わせる?」という姿勢ではなく、自分の足の特徴がわかっているのなら対話を図り、そのうえで「は?」という対応をされたなら行かなければいいのです。
そんな売り場に自分の財産と時間を投資することはありません。