書館に取り寄せ依頼した本の入荷お知らせが来たのですが、 たぶん2014年9月ぐらいに依頼したため、 時間が経ちすぎて
『…なんの本、依頼したっけ』
とほんまにわからなかった。

行ってみたら、この本でした。

こういった「○○するだけで」というライフハック的な短絡タイトルは正直飽き飽きですが、なんかピンと来て取り寄せたんです。
まさか半年以上も経って読むことになるとはね!
でも、いまのタイミングでよかったかも。

ジャーナリストならでは

著者は 石井 紘人(いしいはやと)、スポーツジャーナリストとあります。 
あしや健康についての本は整形外科医、皮膚科医、整体師などこれまで医療方面からのアプローチが大半だったのに、ジャーナリスト視線の本です。
監修は夏嶋 隆(なつしまたかし)、メディカルトレーナーです。

ジャーナリストらしく、文章がわかりやすい。
くどくどしい専門用語を使わずに、体の状態を説明するのって、一般人向けにはとても大事です。
挿入されている図とチェックポイントだけ読んでも、端的な話やってみようかなと思わせるんですよ。
あと、わたし的にヒットなのはバレリーナの体の使い方に言及しているところ。
スポーツ全般を見ている独特のまとめかたをされています。
「足指をまげるだけで腰痛は治る!」
こんな人は腰痛赤信号にある、踵着地の危険性。
スポーツの指導で言われている「拇指球を使え」も、間違いだと指摘されています。

“正しい歩き方”で調べると、踵着地だと明言している人もいれば、踵着地は衝撃が体に強すぎる、足裏全面を置くのがよいという人もいます。
昔ながらのすり足を“悪習慣”とする指導者もいれば、日本人の体にはすり足こそがマッチしているのだという説も。
わたしにはどちらが正しいのかわかりません。
しかし、この本にある「あしゆび歩行」をやってみたんです。

あしゆび歩行とかかと接地


あしゆび歩行は、足の裏全体が同時に地面につく歩行。 
女性ならわかるかも知れないですが、これはヒールを履いたときの歩行と同じです。
この歩き方をしてみると、歩幅は短くなり、気持ちつま先で着地しているような感覚になります。
急ぎ足ではできない歩き方です。

せかせか急いでいる現代人には、難しい。
せかせか歩きは走っているときと同じように足首がアキレス腱を伸ばすような格好になっているので(P76)、だから脹ら脛に負担がかかる。

ゆっくり一歩一歩踏みしめるような体の使い方になります。
P81に原始時代の化石に残された人類の歩幅をみると、非常に狭かったことがわかり、これはあしゆび歩行時と同じ状態ですとあります。

そして、カスタネット足のことを日記に書いたとき(これです)、紬美さんに草履で歩く際こういうからだの使い方をしてみてとアドバイスがあり、その通りにやってみたときと、あしゆび歩行時の体の感覚が同じでした。
歩幅が狭く(小股な歩き)、着地がつま先ぽくなるのまで同じ。
さすが和装慣れしている的確なアドバイス!

わたしの接地はバリバリ踵接地です。
歩行時の重心移動は踵から小指、拇指に抜けるのですが、あれを見て接地も踵からというイメージを持っていたのです。
あしゆび歩行をやってみたとき、てきめんに内股が筋肉痛になりました。
よく外側筋肉ばかり使って歩いていると指摘されるのですが、だからどやねん、どないしたらええねんと肝心の内側筋肉を使う方法はこれまでなんだかんだと教わったものの、イマイチピンとこなかったのです。
が、この歩き方で内側がさくっと筋肉痛になったので、ああなるほど、内側を使おうと意識することが大事なのではないんだなと、よくわかりました。

そして、昨年【モネ・テラモト】で「ある程度ヒールのある靴の方がいいでしょう」とヒールサンダルを出された理由も、いまなら理解できます。
・大阪府にただひとりのマスターシューフィッターのお店、MONET TERAMOTO (モネ・テラモト)に行ってきました
http://nuinui358.dreamlog.jp/archives/38879234.html 

体だけ靴だけ歩行だけではなく


歩行だけでなく、腰に影響を及ぼす日常の姿勢(クセ)についても言及されています。
椅子から立つとき、マウスを持つとき、ペンを持つとき、寝るときの姿勢についても。
ぎっくり腰のきっかけを読んだとき、ああ~わたしもそれなったー!! と頭抱えました。
それと、足指を使えるようになるためのストレッチと、テーピングについても書かれていて、「足指をまげるだけで腰痛は治る!」というタイトルの印象よりも、広い視野で捉えていることがおもしろいです。

靴について印象に残ったのが、P98「腰に負担をかけない靴を選ぶには?」です。
この中に日本サッカー協会の田嶋氏が綴ったエピソードがあって、U-17の日本代表としてヨーロッパの大会に行ったとき、欧米の選手はホテルの朝食時に靴をしっかり履いていた。日本の選手は、足元がサンダル履きだった、と。
目に浮かびますね、その様子が。

この本には具体名称こそ明記していませんが、あのとき流行ったアレとかあれは、体にはどうなんかな的なことがあちこちにちりばめられていて、正体がわかる人間にはグフフとなります。

女性のハイヒール選びについて、「ヒールは3cm以内のものが理想です」とありますが、それはもうハイヒールではなくローヒールじゃん。
これはまあ、あしくつマニアならではのツッコミということで。

圧巻のプロ選手体験記


巻末第四章は、サッカー選手久保竜彦氏のインタビューです。 
わたしはサッカーといえばカズ、アルシンドレベルしか知らないため、どなたさまですか状態ですみません、日本代表だったんですね。
この方の腰痛との戦いが壮絶です。
一般人と違い、休めないんですよ。
一般人もそうそう休めませんが。

腰痛が治ったと思ったら膝が痛くなり、腰痛も再発。
出場できる試合も激減。
痛くて眠れない。
もう歩けないんだ、障害者になるんだという二重の意味で眠れない夜。
そこからの回復も書かれています。
「足指をまげるだけで腰痛は治る!」
P117 あしゆびで立つだけでなく、ジャンプもできる
足の指の色も血色が悪かったそうです。

なにがきっかけで図書館にオーダーしたのか全く思い出せないのですが、借りてみて良かったです。
医療ではなく、スポーツジャーナリストの方の発信というのも、日本のあしくつを取り巻く状況が変わってきたんだなというのを感じさせました。
「足指をまげるだけで腰痛は治る!」
最後に違う意味でびっくりしたのが、著者近影が「自撮り写真」!!
まじか!!
本に載るのに、あり得ないでしょう!!
編集者はなんでこの写真にGO出したの!?

と面食らいましたが、今年の3月に出た同じコンビの

こちらの著者近影は自撮りじゃなかったです。
たぶん、ツッコミ多数だったと思われる。

続きに、この本を電車で読んでいたときのことについて。