えむさんとお話ししていたとき、外国人が日本人女性に関して"残念だ・カワイくない"と思う部分はどこですか? というヒアリングの結果で、なにがトップだったかという話題になりました。
わたしはこの調査をそのとき知らなかったのですが、まんま翌日にFB上にデータが流れてきたのです。

「外国人男性98%が「日本人女性はカワイイ」と回答 - 残念なのは●●との声」
という見出しでまとめられた記事でしたが、その大本になった調査はこれです。

日本人女性は「カワイイ(Kawaii)!」のにハイヒールで歩く姿は「モッタイナイWalk(ウォーク)」!
あなたは「モッタイナイWalk(ウォーク)」していませんか? <外国人男性に聞いた日本人女性の歩き方に関する調査>


これはオムロンヘルスケアとワコールが共同でやっている「女姿力向上プロジェクト」の一環です。
テーマが女性の姿勢や歩き方なので致し方ありませんが、「外国人女性から見た日本男性」の調査もやってほしかったですね。

「外国人男性に聞いた日本人女性の歩き方」

主観と目的ありきじゃないですか

そもそも「若い日本人女性の姿勢が悪い」ということを立証したくて、外国人数値があれば説得力があるという「前提」でやっている気配がありませんか。
なぜなら、こういった啓蒙は女性向けの方がビジネスに訴えやすいから。
「外国人からみて見苦しいよ」→「となりに歩けるような姿勢が理想だよ」→「そのためには○○」という流れ。
他にもこの調査にはいくつか気になることがあり、つらつら考えていたらえらく長くなりました。

上記サイトにある「アヒル歩き」「ペンギン歩き」は外国人でなくとも、日本人がみても見苦しい。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150122-00000009-mycomj-life
Yahoo!ニュースだとユーザーがコメントを寄せています。

でも、わたしはそんな歩き方をしている若い女性を笑える人はいないと思います。
彼女たちは自分がそんな歩き方をしている自覚がないし、そもそもヒールの履き方を知らない。
ヒールとのつきあい方を知らない。
なんであんなヒールを履いて、あんな歩き方なのか。
はっきり言って、日本の消費社会の犠牲ともいえる。

幼い頃からメディアの戦略にさらされ、雑誌やTVのファッションをすること、かわいくあること、モテであることが絶対正義という価値観の元に消費していたら、そらああなるでしょう。
確かに最終的にアイテムを選んで購入するのは彼女たちですが、そう「仕向けて」、「手に取りやすい」、「安価な雑貨靴」をつくった代理店と流通、メーカーの責任も問われるべきでは。
わたしは、彼女たちだけの責任だとは思っていません。
貧困と同じく社会の責任でもあります。

10代に腰を痛めヒールを履かずにいたわたしでも、正しい靴選びを独学で知ったのは30代に入ってからです。
この調査はまるでヒールが歩き方を崩す元凶のようですが、ヒールを履いていないおばちゃんでも、骨盤をぶるんぶるん旋回させて、猫背で、膝を曲げて歩いていますよ。
若い女性だけの問題ではないです。

回答者が偏っていないか

この調査は日本に1年以上住んでいる外国人男性50人が回答を寄せていますが、だいたいこの50人というサンプル数少なすぎです。
1年以上定住している外国人という確証が取れているなら、おそらくホワイトカラー層では。
お国ではきちんとした靴生活を送ってそうなインテリの香りがする。(邪推しまくり)

彼らは日本人が子供の頃から人体構造上不健康な“上履き”というシロモノを履かされ、制靴を履かされている実態を知っているのか。
彼女と一緒に靴売り場に行って、試着しているのを見たことがあるのか。
彼女たちが履いている靴が、あなた方のお国にはない「雑貨靴」で、フィッティングの概念もない売り場で購入していることを知っているのか。

日本の売り場には一見たくさんの靴があるので、彼らは彼女たちがわざわざ「姿勢が悪くなる」靴を選んでいるように見えるのでは。
彼らの靴の買い方と、日本の買い方は違うのです。
だから、外国人に回答させるのって、まったくフェアじゃないと感じます。

若い女性だけではない

そして、「不格好な歩き方をしている女性のとなりを歩きたくない」という回答。
わたしは一人で海外旅行に行って感じたのは、日本人男性ってすぐに見分けつくなってことでした。
よくコリアン、チャイニーズと区別つかないっていうのは外国人目線だからであり、
日本人目線で見ると、

・コリアンは兵役の影響か体つきで全然違う
・チャイニーズは、顔つきが鋭い(と表現しておこう)
・日本人男性は、足元が緩く腹筋も弱い猫背

ふにゃふにゃしてぺらぺらの体つきだから、すぐわかる。
電車の中で見る男性の足元は、靴ひもが切れていたり、緩んだまま踏んづけていたり。
そんな男性の横に並びたい外国人女性はもちろん、日本人女性だっておらんわ。

女性はまだメイクなり身なりでカバーできる部分があります。
しかし男性は素材そのまんまです。
緩んだ足元をしていたら到底ビジネスの相手として信頼置けません。
むしろ、若い男性の足元こそ、今後の日本経済に直結すると思います。

同じオムロンワコールの調査でも、こうやって男性がいっちょかみしているレポートの方がよほど実りがあります。

初めてハイヒールを履いて分かった「姿勢」の大事さ

こちらは元になった調査はこちら、 就活スタイルへの啓蒙に絡めています。

あしのことは子供の頃から

それよりも憂いているのは、いまのこどもたちのことです。
子供時代にどれだけ足を育てることができるのかで、体力持久力バランス感覚が決まります。
以前は体操教室なんて行かずとも、公園や学校の遊具程度でもそれらは養われていたのですが、いまの子たちは遊べるところが全然ない。
わざわざ「体を作るための教室」に行かないといけない。
そして、時間もない。
過去、無料で養われたことが、いまはお金がかかるのです。

精神科医である白クマ先生が記事にまとめられています。
学力だけじゃない、体力もカネで買う時代

「彼/彼女らを観ていると、たとえ上昇志向でなくとも、親が教育にリソースを割かなければとんでもない事になり得るというのがよくわかる。親がきちんとリソースを投下しなければ何も身に付かない時代がやってきたのだ。

 

 だから「余裕のある家庭の子どもは学力自慢、余裕の無い家の子どもは体力自慢」という図式はとっくの昔に時代遅れになっている。本当に余裕 があって親の目配りも利く家庭の子どもは、なんだって身に付けられるし、本当に余裕が無くて親の目配りの利かない家庭の子どもは、なんだって身に付けられ ない。あまりにも多くの要素が親のカネとリソース次第になってしまったこの状況もまた、いわゆる格差社会の成立要因の一つなのだろう。」


靴の価格も二極化し、雑貨靴しか履けない家庭で育った子は、自分のこどもにも雑貨靴を履かせるでしょう。

20~30年前の靴を知る人と、知らない人。
知っている人は選ばないけれど、知らない人はその影響を知らないまま履き続ける。
それがいまの若い男女の歩き方であり、すべての資本であるからだが脆弱に退化していることを指している。

複数業界へのレッドカード

オムロンワコールではなく、靴業界が歩き方についての調査をやらないことも残念。
靴のサイズについては、一般社団法人 日本皮革産業連合会(JLIA)がやっている「足サイズ計測事業」(ライブラリのずっと下)ぐらいかな。
http://www.jlia.or.jp/library/
報告書のPDFをバーンと貼っちゃうのって、とってもお役所的ですね。
皮革団体向けとはいえ啓蒙をはかるのなら、もっとコンテンツ化したらいいのに、もったいない。

今回のような調査結果で、西洋意匠に合わせようとしている日本人の“いま”を採点することよりも、それを活かして和服草履下駄遺伝子を持った日本人にあった独自スタイルを生み出すぐらいの、社会通念を変えてくれるようなビジョンを見せてほしいです。


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2月分受付中です! 
「あしを守る靴えらびWS」
歩き方の話はしませんが、靴を変えるだけでも変わりますよ。

【第一部】2/14(土)19:15~、2/21(土)19:15~
【第二部】2/28(土)19:15~